【速報】2017年度税制改正大綱を読む~法人税編~

平成29年度税制改正
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本日(2016年12月8日)、2017年度税制改正大綱が公表されました。このうち法人税に関係する部分について、簡記してみました。

※ 速報のため、後日、加筆・修正を加えることがございますので、ご了承ください。

中小企業が知っておきたい2017年度税制改正大綱

研究開発税制の見直し

研究開発税制とは、企業の競争力を高めるために試験研究費を支出を促進する税制であり、試験研究費を支給した場合に一定の金額を法人税額から控除できる制度です。

今回の税制改正では、以下の見直しが行われます。

<試験研究費の範囲>

試験研究費の範囲は、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する原材料費、人件費及び経費等ですが、これにAIやビッグデータ等を活用した高付加価値なサービス開発を対象として追加

<控除率>

試験研究費の増減に応じてメリハリをつけた控除額の計算方法へ改変

試験研究費の総額に係る税額控除率の上限を10%から14%へ引き上げ(2年間の時限措置)

中小企業者向けの特例による税額控除率を現行の12%に加え、増加割合に応じて最大17%まで引き上げ(控除税額の上限についても、現行の法人税額の25%から35%へ引き上げ)

賃上げ促進のための所得拡大促進税制の見直し

概ね、先日書いた記事の通りです。

【2017年度税制改正案】中小企業の賃上げ促進減税の内容が判明
本日(2017年12月1日)の日本経済新聞の一面は、『賃上げ中小 減税拡大 法人税増加分の22%』でした。11/16のブログでも取り上げましたが、本日の記事で内容が明らかになってきましたので、どのように改正される予定なのか、まとめてみました...

中小企業投資促進税制の拡充

適用期限が2017年3月31日となっていた中小企業投資促進税制(生産性を向上させる設備投資を行った場合、その取得価額を即時償却または取得価額の10%を法人税額から控除できる制度)が2年間、延長されることとなりました。

その他、中小企業向けの投資促進税制の延長・拡充が行われる予定です。

中小企業者等に係る軽減税率の特例の適用期限の延長

中小企業者の年800万円以下の所得に対する税率を19%から15%へ引き下げている時限措置が2年間延長されることとなります。

【2017年度税制改正案】中小減税特例2年延長!100万円の利益に対する税金はいくらになる?
一昨日(2016年11月13日)の日経新聞の一面の記事によると、政府・与党は中小企業の年800万円以下の所得に対する税率を15%とする特例措置を2年延長する方針を固めたとのことです。 現在の法人税率は何%? 2017年3月31日までに開始す...

まだある法人向け2017年度税制改正

確定申告書の提出期限の延長の特例の見直し

会計監査を受けている会社については、届出をすることにより特例として1か月の延長が可能となっていますが、2か月の延長が可能になる見込みです。なお、2か月の延長を受けるためには、定款等により定時株主総会の開催時期を事業年度終了から3か月を超える日とする必要があります。

<会計監査を受けている会社の確定申告期限>

原則特例
税制改正前事業年度終了の日から2月以内事業年度終了の日から3月以内
税制改正後事業年度終了の日から4月以内※

※ 定時株主総会の開催を事業年度終了の日から3月を超えた日とする必要あり

【2017年度税制改正案】法人の確定申告は決算日から2か月以内までに必ずしなければならない!?延長が可能な場合も!
※ 本記事は、2016年12月までの情報に基づく記事です。法人税の確定申告期限の延長については、下記リンクの記事が2017年度税制改正を踏まえた最新の記事になります。 11月19日の日経新聞によると、政府は2017年度から法人税法の改正で企...
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役員給与等の見直し

<利益連動給与の見直し>

上場会社の子会社の役員についても、対象に追加

<事前確定届出給与>

株式や一定の新株予約権を交付する給与を対象に追加

<定期同額給与>

税及び社会保険料の源泉徴収等の後の金額が同額である定期給与を対象に追加

【2017年度税制改正大綱】役員報酬の手取額を毎月同額にしても定期同額給与でOK!
2016年12月8日公表の与党税制改正大綱によると、2017年度税制改正により、役員報酬について、利益連動給与、事前確定届出給与、定期同額給与の見直しが行われるとのことです。これらの見直しのうち、利益連動給与、事前確定届出給与は主に大企業向...

確定申告書の提出期限の延長の特例の見直しに伴い、現行では事業年度開始日以後3月以内のである定期同額給与の改定期限を見直し

組織再編税制の見直し

この項目は、専門家向けですので、それ以外の方は読み飛ばしてください。

<スピンオフに対する課税の繰り延べ>

現行では課税が妨げとなっていた会社分割を利用したスピンオフについて、一定の要件を満たす場合に、課税の繰り延べが可能となる

<100%子法人株式の全部を分配とする現物分配>

分割型分割と同様に取り扱うように改正

<吸収合併及び株式交換に係る適格要件のうちの対価要件の緩和>※

合併法人または株式交換完全親法人が被合併法人または株式交換完全子法人の発行済株式の3分の2以上を有している場合、少数株主に対する対価については要件から除外(少数株主には金銭等を交付しても適格合併や適格株式交換が可能になる)

<全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式売渡請求による完全子法人化>※

組織再編税制の一環として位置づける

非適格の場合:完全子法人等の有する資産の時価評価が必要

適格の場合:連結納税の時価評価制度の対象から除外、繰越欠損金の引継ぎが可能に

【速報】2017年度税制改正大綱~連結納税でもスクイーズアウトが容易に~
これまで連結納税導入企業にとっては、連結納税加入時の資産の時価評価制度や繰越欠損金の切捨てによる税負担増加の懸念から、スクイーズアウト(少数株主の排除)を行うことに躊躇することが少なくありませんでした。 昨日(2016年12月8日)に公表さ...

<非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度及び連結納税の開始・加入に伴う資産の時価評価制度>※

帳簿価額1,000万円未満の資産を時価評価の対象から除外

【2017年度税制改正大綱】もう時価評価は怖くない⁉非適格株式交換や連結納税の開始・加入がより使いやすくなる!
2017年度税制改正では、非適格株式交換や連結納税の時価評価制度の対象資産から帳簿価額1,000万円未満の資産が除外されました。前回の記事でご紹介した「3分の2以上支配している場合の対価要件の緩和」と「スクイーズアウトの組織再編税制化」もあ...

<全部取得条項付種類株式に係る定めを設ける旨の定款変更への反対株主の買い取り請求に基づく自己株式の取得>※

みなし配当の発生はないものとする

<適格要件の見直し>※

企業グループ内の分割型分割に係る適格要件のうち、関係継続要件について支配法人と分割承継法人との間の関係が継続することが見込まれること

【2017年度税制改正大綱】適格要件の見直し~会社分割で無税でgood事業を残し、bad事業を整理する方法~
現行の組織再編税制では、親会社が子会社のgood事業を会社分割により切り出し、bad事業を売却すると、子会社においてgood事業の含み益に対して課税されるという問題がありました。 2017年度税制改正大綱によると、企業グループ内の分割型分割...

共同事業要件の株式継続保有要件について、被合併法人等の50%超を保有する株主が合併法人等の株式の全部を継続して保有すること

【2017年度税制改正大綱】株式継続保有要件の見直しで共同事業要件を満たす適格合併等が容易に!
2017年度与党税制改正大綱によると、共同事業要件を満たすための適格合併等の要件の一つである株式継続保有要件が見直されることとなりました。これにより、株主が50人未満である会社を合併したり、株式交換により子会社化する場合において、適格合併等...

<営業権、資産調整勘定及び負債調整勘定の償却>

月割計算とする

<繰越欠損金の引継ぎ制限>

支配関係発生事業年度の開始日から支配関係発生日の前日までの間に生じた特定資産の譲渡等損失額を損金不算入の対象に追加

※の改正については、2017年10月1日以後に行われる組織再編成について適用するとのことです。

円滑・適正な納税のための環境整備

法人が移転して管轄の税務署が変わった場合、これまでは異動前と移動後の両方の税務署に異動届出書を提出する必要がありましたが、今後は異動前の税務署のみに提出すればよくなります。

法人の設立時に必要であった登記事項証明書の添付については、不要となります。

外国税額控除や研究開発税制などで増額更正があった場合、これに連動して税額控除額を増加することができるようになります。

大企業並み所得を有する法人の中小企業向け特例の適用制限

中小企業向けの租税特別措置による減税措置については、過去3事業年度の平均所得金額が年15億円を超える場合、適用不可となります。

この改正は、2019年4月1日以後開始事業年度から適用となる見込みです。

【2017年度税制改正案】実質大企業の中小企業向け政策減税を制限
法人税では、資本金1億円以下の企業を中小企業者としているため、数十億円という利益を稼ぎ出す大きい会社でも、中小企業向けの減税の恩恵を受けることが出来ます。本日(2016年12月5日)の日本経済新聞の記事によると、所得が15億円を超える中小企...

タックスヘイブン税制の見直し

これまでは租税負担率が20%未満の外国子会社などが合算課税の対象でしたが、この20%という基準が廃止されました。そして、租税負担割合が30%未満で、実体のない外国子会社などについては、合算課税の対象となりました。

このほかにも、タックスヘイブン税制については大幅に改正される予定ですので、施行までに大いに勉強しなくては、という印象でした。

税率の低い国所在の子会社に課税するタックスヘイブン税制とは?
今日(2017年11月28日)の日経新聞の一面に「税逃れ対策強化 企業・富裕層の海外所得」という記事が掲載されていました。記事の内容は、以下の通りです。 政府・与党は2017年度税制改正で企業や富裕層の国際的な課税逃れを防ぐ対策を強化する。...

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【編集後記】

同じマンションに住む中小企業診断士の方からのご招待で、営業力強化セミナーに参加しました。売上が伸び悩んでいる中小企業の課題をアンケートによりあぶり出し、営業体制の見直しに取り組んでいるとのことです。

【昨日の一日一新】

南部労政会館

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※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

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