協賛金を支払った場合の会計処理(税務上の取扱い)


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会社が協賛金を支払った場合、その協賛金の実態によって3つの処理方法があります。

協賛金を支払った場合の会計処理(税務上の取扱い)

協賛金とは

協賛金とは、企業などが、イベントの開催などに対して、その趣旨に賛同する企業が資金負担をするといったものになります。

企業がその協賛金を趣旨としては、次のものが考えられます。

  • 宣伝効果があり、広告宣伝として協賛金を負担したい
  • 宣伝効果は見込まないものの、協賛金を募っている事業者との関係上、協賛金を負担してあげたい
  • 地域社会と良好な関係を築くために、協賛金を支払いたい

この趣旨に応じて、税務上の取扱いが異なります。

そして、会計処理は無用な混乱を防ぐため、税務上の取扱いに合わせて行うのが一般的です。

広告宣伝費となる場合

広告宣伝費とは、不特定多数の者に対して会社名や取り扱っている商品の宣伝効果を意図している費用のことをいいます。

つまり、協賛金の支払が自社の会社名をアピールするためのイベントへの協賛であったり、自社商品をアピールするための見本市などへの協賛といった広告宣伝目的を趣旨とする場合には、広告宣伝費として処理することになります。

広告宣伝費となる場合、その費用は全額損金(法人税の計算の元となる所得から差し引く項目)となります。

交際費となる場合

取引先が行う催し物やイベントに対して協賛金のお願いがあり、広告宣伝効果は見込めないものであったり、広告宣伝効果を遥かに上回る高額な金額の協賛金であったりするにもかかわらず、その取引先との関係円滑化のために協賛金を支払うということがあります。このような場合、協賛金は広告宣伝効果目的ではなく、取引先との関係円滑化のための支出であることから、税務上、交際費として取り扱う必要があります。

交際費となる場合、資本金1億円以下などの一定の要件を満たす中小企業であれば、年800万円まで損金(法人税の計算の元となる所得から差し引く項目)となります。中小企業以外の法人、つまり、資本金1億円を超える大企業などの場合は、損金にはなりません。

関連記事:会社は交際費をどの程度まで経費で落とせるのか?

寄附金となる場合

企業が立地している地域のお祭りや花火大会などのイベントに対して、その地域との関係の円滑化のために協賛金を支払うということがあります。

この場合の協賛金は、そのイベントの主催団体に対する寄附金として取り扱われます。

支出の相手先が事業関係者の場合には、取引関係の円滑化ということで交際費としての取扱いになるのですが、支出先が地域イベントの主催団体の場合には、事業との関連性が比較的薄いものであることから、事業とは関連のない支出ということで寄附金として取り扱われることが一般的です。

寄附金となる場合、会社が協賛金を損金(法人税の計算の元となる所得から差し引く項目)とすることができる金額は、下記の算式により計算した金額を限度とします。

(資本金等の額×当期の月数/12×2.5/1,000+所得の金額×2.5/100)×1/4

例えば、資本金が1,000万円であったとすると、この限度額は所得の金額に応じて次の通りとなります。

※ 資本金以外の資本金等の金額はゼロと仮定

所得の金額損金算入限度額
0円6,250円
500万円37,500円
1,000万円68,750円
1,500万円100,000円

つまり、協賛金が寄附金に該当する場合、損金と出来る金額は少額であり、基本的には損金にならないものと考えたほうがよいでしょう。

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協賛金の税務上の取扱いのポイント

協賛金を支払った時に、「広告宣伝費」とするか、「交際費」とするか、それとも「寄附金」とするかは、実態に合わせて処理をすることが大切です。

例えば、広告宣伝効果がないにもかかわらず、取引先との関係上を考慮して負担した協賛金を広告宣伝費としてしまうと、税務調査のときに交際費として認定され、追徴課税を受けてしまうという可能性があります(注)。

(注)資本金1億円超の大企業の場合。資本金1億円以下の中小企業の場合、協賛金を交際費とすることになっても、交際費の額が年800万円以下であれば、追徴課税はありません(ブログ執筆時現在)。

なお、気を付けて頂きたいのが、ネットの情報を鵜呑みにしないことです(この記事もネット上の記事ですが…)。

協賛金の科目の選択は、企業が自分で選ぶことができるようなことが書いてありますが、会計上の科目選択はできても、税務上の取扱いは選ぶものではなく、実態に即して決めるものです。

その実態によって取扱いが異なるものですから、協賛金を支払うことになった場合の扱いについては、税理士と相談するのがお勧めです。

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【編集後記】

税理士法人勤務時代、各税務署の納付書は、担当の方が税務署から取り寄せてくれていました。しかし、ひとり税理士の場合、そうはいきません。自分で取りに行かなければならないのです。今回必要だった納付書は、ちょっと遠かったので、取りに行くのが大変だ…と思っていました。

しかし!ググってみたところ、最寄りの税務署で他の税務署用の納付書を用意してもらえることが判明。遠くまで行かずに済みました。

【昨日の一日一新】

王子税務署にて王子税務署以外の税務署の納付書をもらう

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※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

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