【売上の計上基準】売上げはいつ計上するべきか?~税務調査で否認されないために~

2020年4月5日


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B to Bのビジネスでは、請求書を発行した時に売上に計上するという段取りで経理をしている会社も多いと思います。ただ、法人税法を見ると、請求書発行日の属する事業年度に売上を計上するとは書いていません。通常の業務フローでは請求書発行日に売上計上という流れで経理をしていても構いませんが、決算日前後ではいつ売上を認識すべきか意識して経理する必要があります。

PublicDomainPictures / Pixabay

商品や製品を販売した場合

法人が商品や製品などの棚卸資産を販売した場合、その引渡しがあった事業年度の売上として計上します(販売基準)。

引渡しの日とは?

引渡しの日とは、具体的には次の日となります。

  • 出荷した日(出荷基準)
  • 相手方が検収した日(検収基準)
  • 相手方において使用収益ができることとなった日(使用収益開始基準)
    ※ 不動産販売を想定。分割払いで担保として完済時まで所有権移転登記が留保されている場合でも、相手方の使用収益が開始した時に売上を計上する。
  • 検針等により販売数量を確認した日(検針日基準)
    ※ ガス、水道、電気等の販売を想定。決算日に検診をすべて行うのは物理的に難しいですから…。

これらの中から、商品や製品の種類、性質、販売契約等によって合理的なものを選択し、これを継続して適用します。

毎期、出荷した日に売上を計上していたけど、今期は売上が好調で利益がたくさん出そうだから、得意先が検収した日にしようというのはやめましょう。

商品や製品の販売を他者にに委託(委託販売)している場合は?

自社の商品や製品を他者に販売を委託している場合でも、原則として、その他者が商品を販売した時(商品、製品の引き渡し時)に売上を計上します。ただし、継続して売上計算書の到達時に売上計上している場合には、その処理が認められます。

決算日に販売代金が確定していない場合は?

販売代金が確定していなくても、商品や製品を相手方に引き渡した場合には、売上計上する必要があります。その時の売上計上する金額は、決算日において適正に見積もった金額とします。

その見積もった金額と実際の販売金額が異なる場合には、販売金額の確定時にその差額を調整します。

請負契約の場合

物の引渡しがある場合(建設業など)

物の引渡しがある請負契約の場合には、その全部が完成して相手方に引き渡した日が売上計上日となります(工事完成基準)。

建設業で言えば、建設した建物や構築物などが完成し、相手に引き渡した日になります。

物の引渡しがない場合(運送、設計、測量など)

物の引渡しを要しない請負契約の場合には、その契約に基づく業務の全部が完了した日に売上計上します。

着手の日から契約上の引渡し日までの期間が1年以上であり、請負対価が10億円以上の場合

建設やソフトウェアの制作などの請負契約において、着手の日から契約上の引渡し日までの期間が1年以上であり、請負対価が10億円以上の場合(※)、工事の進捗度に応じて売り上げを計上することになります(工事進行基準)。

※ 請負価額の2分の1以上が工事の目的物の引渡しの期日から1年を経過する日後に支払われることが定められているものを除きます。

建設工事の引き渡しの日とは?

請負の内容が建設、造船などの工事の場合のその工事の引渡し日は、具体的には下記の通りとなります。

  • 作業を決了した日
  • 相手方の受入場所へ搬入した日
  • 相手方が検収を完了した日
  • 相手方において使用収益ができることとなった日

その工事の種類、性質、契約内容などに応じて、その引渡しの日として合理的と認められる日を継続して売上計上日とします。

決算日に工事代金の額が確定していない場合は?

商品や製品の販売と同様、適正な見積額で売上計上し、売上金額の確定時に差額を調整します。

税務調査で否認されないために注意したいこと

決算月の翌月の売上をチェック

まずは、決算日の翌月の売上の内容をしっかりチェックしましょう。請求書に決算日前に引渡しを終えたものがないかどうか、納品書や検収書の日付が決算日前のものがないか、確認しましょう。翌々月までしっかりとチェックできればなお良いです。

やってはいけないこと

納品書や検収書の日付を改ざんするなど行為は、仮想隠蔽があったものとして重加算税の対象となり、追徴税額の35%のペナルティーを支払わなければなりません。また、国税側で仮想隠蔽のあった会社として記録が残るため、税務調査も短期間で来るようになってしまいます。

調査官は、不正を見つけるプロです。納品書の発行番号や顧客とのメールのやり取り、場合によっては反面調査などで、不正は見つかってしまいます。見つかったときの代償は大きいので、書類を改ざんして売上時期をずらすというような行為はやらないようにしましょう。

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【編集後記】

昨日、以前職場が一緒だった同僚と飲みに行きました。彼も同じく今年の夏に独立開業ですので、大いに刺激を受けました。

【昨日の一日一新】

楽蔵うたげ有楽町店

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