インボイス制度で増税になるってホント?2023年10月に導入される消費税のインボイス制度の疑問に答えてみた


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20221108ブログ用

今朝、妻から「インボイス制度」について色々と質問を受けてざっくりと答えたのですが、世の中の人はインボイス制度についてよくわかっていなかったり、大きく勘違いしたりしている気がしたので、改めてブログに落とし込んでみました。

インボイス制度で増税になるってホント?

多くの一般消費者にとってインボイス制度で増税になることはありません。インボイス制度で増税になる可能性があるのは次のような方です。

  • 消費税を国に納めていなかった事業者(「免税事業者」といいます)で、インボイス制度の開始をきっかけに消費税を納税する消費税を国に納める事業者(「課税事業者」といいます)になることを選択した者
  • 「課税事業者」で「免税事業者」から仕入をしたり、経費を支払ったりしていた者

免税事業者とは、設立や開業して2年以内であったり、前々事業年度や2年前の売上高が1,000万円以下であることなどの消費税の納税義務が免除される事業者のことをいいます。

ところでインボイス制度って何?

インボイス制度を理解する前提として、そもそも、消費税がどういう仕組みか分かる必要があります。
私たち消費者が払った消費税は、事業主がいったん預かって、これを国に納付するという形態をとっています。
ただ、事業主も物を買ったり、機械などを借りたり、サービスの提供を受けたりしたときに消費税を払っています。
そのため、事業者が国に納める消費税は、以下の通りとなります。

預かった消費税(売上に係る消費税)-支払った消費税(仕入や経費などに係る消費税)=納付する消費税

インボイス制度とはこの「支払った消費税」について、原則として「適格請求書(インボイス)」という書類の保存があるものしか認められなくなるというものです。
そして、「適格請求書(インボイス)」を発行できるようになるためには、事業者は国に登録の申請をすることが必要です。
インボイス発行事業者になると、自動的に課税事業者になり、免税事業者でありながらインボイス発行事業者になることはできません。

もともと課税事業者である事業者であればインボイス発行事業者になることに影響はありません(適格請求書を発行するためのシステムの改修などの負担はありますが…)。

しかし、免税事業者である事業者にとっては、インボイス発行事業者になると消費税を納税しなければいけなくなってしまうので負担が増えることになります。
これまでは免税事業者であっても顧客に消費税を請求しても特段の問題がなかったため、消費税として請求はするものの、国への納税はせずに益税となっていました。
インボイス制度が施行されると、免税事業者が請求書に「消費税」と記載して請求することは、インボイス類似書類の発行として罰則が適用される可能性があるので、今後はなくなっていくと思われます。

インボイス制度の適格請求書(インボイス)って何?

適格請求書というと何やら難しい書類を作らなきゃいけなそうなイメージがありますが、どうなのでしょうか。
中小企業者の負担になるような書類になってしまうのかというと、そうでもありません。
今までの請求書に次の3つの事項を加えればOKです。

  • 登録番号(インボイス発行事業者の登録をすると付与されます)
  • 適用税率(8%かそれとも10%か)
  • 消費税額等

国税庁のパンフレットに以下の具体例が紹介されています。
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① インボイス発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
消費税額等(端数処理は一インボイス当たり、税率ごとに1回ずつ)
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

ただ、コンビニ、郵便局でもらうレシートやタクシーの領収書など、不特定多数を取引先とする事業者にとっては、「⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」を記載するのは負担が重くなってしまいます。
そこで、不特定多数を取引先とする事業者は、適格請求書の代わりに「⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載を省略した適格簡易請求書(簡易インボイス)を発行することができます。
簡易インボイスの場合、「適用税率」、「消費税額等」についてもどちらか一方のみ記載すればよいこととされています。

インボイス制度に反対している人たちがつぶれるお店がたくさん出ちゃうといっているけどホント?

個人的には、これは違うと思います。

システムエンジニアやデザイナーでフリーランスとして活動している方など、1人で事業を営んでいる方については売上1千万円未満の方も少なくなく、そういった方については消費税相当の値下げをされてしまった場合、収入源となってしまいます。

しかし、お店というレベル感(従業員を何人か雇用している)で商売をしている方は、そもそも免税事業者というレベル(売上1千万円以下)では経営が苦しくて食べていけないのではないでしょうか。
お店を運営していくには、商品の仕入、店舗の家賃、従業員の給与などの恒常的に発生する経費のほか、経営を維持していくには設備投資も必要です。
設備投資ができないと設備が老朽化していずれはお店を閉めることになります。
お店という規模で商売をしている以上は売上1千万円は超えるよう経営努力をしていくべきだと私は思うのです。
もちろん、賃貸ではなく自社ビルなどの自己所有物件で売上1千万円以下という方もいますが、そもそも不動産持っているのだけ財産をちゃんと持っている方なので心配無用かと。

それと、お店のように顧客が一般消費者がほとんどということであれば、インボイス発行事業者にならずに免税事業者のままでも問題ないでしょう。
適格請求書(インボイス)を受領したいのは事業者のみです。
取引先のほとんどが一般消費者の場合には免税事業者のままでも影響は軽微ではないでしょうか。

インボイス制度に反対と声高に叫んでいる方々にとっては、本音では零細企業がつぶれちゃうから反対しているのではなく、別の理由で反対しているように思えます。
システム改修の設備投資の負担が重いとか、請求書のフォーマットを変更するのが面倒くさいとか、経理が面倒くさくなる(適格請求書かどうかを判定しなくてはいけない)とか、色々と負担は増えますので。
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【編集後記】
週末に小1の息子とイオンモール幕張新都心のスペースアスレチックトンデミを初体験。
クライミングウォールやトランポリンでついつい頑張りすぎた結果、その翌々日の本日、筋肉痛を発症。
日頃からの運動が大切ですね。
通常1人あたり土日祝日2,500円、平日2,000円ですが、16時以降だと1,500円となりお得です(時間は90分)。

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※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

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