新型コロナウイルス感染症の影響で中間納付が難しい場合、どうするか?

2020年5月1日


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本日(2020年4月30日)、新型コロナウイルス感染症対策の税制の法案が成立しました。

先月中旬頃から新型コロナウイルス感染症への対応の情報(融資、持続化給付金、感染防止協力金、税制、雇用調整助成金など)が日々更新されています。

その中で私が気になっていたのは中間納付についてでした。これまでは中間納付の情報がほぼありませんでしたが、本日国税庁のホームページで更新情報が掲載されていましたのでまとめてみました。

中間申告とは

法人税や消費税では、前期に一定以上の納税額がある場合、事業年度の中途において、中間申告を行って税金の前払いをする中間申告の制度があります。

法人税であれば、事業年度開始から6か月を経過した日を基準として2か月以内に中間申告・納付を行います。

消費税であれば、前期納税実績により、中間納付の回数が年1回、年3回、年11回のいずれかとなります。それぞれの申告・納付期限は以下の通りです(例:3月決算の場合)。

    • 年1回の場合:9月末の翌日から2か月以内
    • 年3回の場合:6月末、9月末、12月末からそれぞれ2月以内
    • 年11回の場合:1回目、2回目は6月末、それ以降は毎月月末(11回目の納付は翌年4月末期限)

中間申告の方法は、以下の2つの方法があります。

  1. 前期の納税実績に応じて納税する方法
  2. 仮決算を行って納税する方法

前期の納税実績に応じて納税する方法

法人税で1の前期の納税実績に基づく方法を採用した場合、前期の納税額が100万円だったら、50万円を中間納付として納税することとなります。税務署からの中間納付のお知らせはこの前期納税実績に基づき印字されたものが送付されるため、多くの場合、この前期納税実績に基づいて納税することとなります。

消費税の場合であれば、前期納税実績により、中間納付の回数が年1回、年3回、年11回のいずれかとなります。

1回あたりの中間納付による納税額は以下の通りとなります。

  • 年1回の場合:前期の納税額×6/12
  • 年3回の場合:前期の納税額×3/12
  • 年11回の場合:前期の納税額×1/12

仮決算を行って納税する方法

前期は好調だったものの、当期は前期よりも業績がかなり悪化しているという場合、前期の納税実績に基づいて納税をすると資金繰りの面で厳しいということがあります。

そのような状況で採用することができるのが、仮決算を行って納税する方法です。

法人税であれば事業年度開始の日から6か月間の期間を基準として税金計算の仮計算を行います。

消費税であれば以下の通りに区切って仮計算を行います(例:3月決算)。

  • 年1回の場合:4~9月
  • 年2回の場合:4~6月、7~9月、10~12月
  • 年11回の場合:毎月

仮決算とはいいつつも、通常の確定申告と同様の手続で税金計算をするため、時間もかかり、作業負担もかかります。そのため、多少の業績悪化程度では行うことはめったにありません。今回の新型コロナウイルス感染症による被害のように、業績の悪化が著しい場合などで資金繰りへの影響が大きい場合、仮決算による中間申告が有力な選択肢となります。

新型コロナウイルス感染症のため中間申告による納税が難しい場合

新型コロナウイルス感染症のために資金繰りが悪化している場合、中間申告による納税対策としてできることは、以下の3つが考えられます。

  1. 前期納税実績に基づく中間納付額の納税猶予を受ける
  2. 仮決算を行って中間申告・納付を行う
  3. 仮決算を行って中間申告を行い、さらに、中間納付額の納税猶予を受ける

前期納税実績に基づく中間納付額の納税猶予を受ける

資金繰りの都合で納税資金に窮している場合、納税猶予の制度を利用し、納税を遅らせることができます。通常は延滞税がかかるのですが、昨今の状況を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の影響による場合には、延滞税なし、担保不要の納税猶予制度の特例が設けられました。

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詳細は、以下の通りです。

特例猶予(延滞税なし)

・ 新型コロナウイルス感染症やそのまん延防止のための措置の影響により、令和2年2月1日以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等に係る収入が前年同期と比べて概ね 20%以上減少していること。

・ 一時に納税することが困難であること。

(注)1 担保は不要です。

2 令和2年2月1日から同3年1月31日までに納期限が到来する国税が対象

(国税庁ホームページより引用)

中間納付の場合、納付期限は確定申告期限まで延長できます。つまり、中間納付をしないで確定申告をするということになります。

こちらの制度を利用するためには納期限(注)までに税務署へ申請書を提出する必要があります。

(注)令和2年2月1日~6月30日までに納期限が到来するものについては、期限が過ぎたものであっても令和2年6月30日までに申請書を提出すればOKです。

仮決算が中間申告期限に間に合わない場合

中間申告の期限までに中間申告を行わない場合、前期実績に基づいて中間申告があったものとみなされます(つまり、無申告にはなりません)。

そのため、通常であれば、仮決算により中間申告を行おうと思ったけれども期限までに中間申告できなかったという場合、前期実績に基づいて中間申告をしたものとみなされてしまいます。

しかし、今回のコロナウイルス感染症の影響により申告期限までに仮決算による中間申告が行うことが困難な場合には、申告期限の延長が認められることになりました。

申告書の余白やe-Taxの添付書類送付書などを利用して「新型コロナウイルスによる申告・納付期限の延長申請」をすることにより、本来の申告期限後に仮決算による申告をした場合でも仮決算ができることになったのです。

まとめ

中間納付額を減らしたい、そんなときにとれるのは先ほど触れた以下の3つの方法です。では、どの方法を採用すればよいのでしょうか。

    1. 前期納税実績に基づく中間納付額の納税猶予を受ける
    2. 仮決算を行って中間申告・納付を行う
    3. 仮決算を行って中間申告を行い、さらに、中間納付額の納税猶予を受ける

納税猶予を受けることを検討されている法人の場合、売上に関してはおおむね20%減少しているという点に関しては明確に該当しいるかどうかがわかるのでよいのですが、問題は「一時に納税することが困難であること」を見てしているかどうかです。

すぐに現預金が枯渇するというのであれば、仮決算を行う手間、従業員の残業代、仮決算を税理士に依頼することによる報酬などもかけたくないところですので、上記1を選ぶべきでしょう。

現預金が十分にある法人だと満たすのは難しいため、2の仮決算を行って中間申告・納付を行うことで中間納付額を減らすしかないでしょう。

問題は現時点では納税資金はあるものの、この状態が続くと経営が行き詰るため、延ばせる支払は何とかして伸ばしたいという微妙な状況にあるケースです。

上記1を選択したら税務署から特例の申請が却下されてしまい延滞税が発生ということは避けたいものです。そのリスクを感じるのであれば、たとえ延滞税がかかってしまったとしてもその金額が少なく済むように上記3の選択肢をとるというのもありでしょう。

個人的には、中間納付ですので多くの事業者が上記1で済むよう、税務署で柔軟に対応してほしいと考えています。あくまでも中間納付ですので、大目に見てもらいたいものです。

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【編集後記】

最近体重が増加気味です。お客様とのミーティングが対面からオンラインへ切り替わり、移動距離が大幅に減ったため、運動不足になっているのかもしれません。しかし、遊びにも行けないので、一日の生活の中での楽しみが食事になってしまったのが原因なのでしょう。

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