昨日、忘年会は交際費?それとも福利厚生費?といった記事を書きました。
「そもそも、交際費でも福利厚生費でも経費で落とせるから一緒なのでは?」と思われた方もいるかもしれません。それは、正しいとも言えますし、正しくないとも言えます。
※ 「経費で落とす」=「会社の経費となり、利益が減る分だけ税金が安くなる」という意味で用いています。
中小企業の交際費は年800万円まで会社の経費で落とせる
原則、交際費は経費で落とせない
本来、交際費は冗費(無駄な費用)節約のため、会社の経費で落とせません。
得意先、仕入先などの事業関係者と親睦を深めるといったことなどで交際費は会社にとって必要なものですので、会社が負担することには問題ありません。しかし、交際費を多く使えば使うほど税金が安くなるというのは問題がありますので、原則、交際費を会社の経費に落とすことはできないこととされています。
中小企業の交際費は年800万円まで会社の経費で落とせる
しかし、中小企業の場合は、年800万円であれば、会社の経費で落とすことが可能です。
以前は、下記の通り、交際費のうち会社の経費に落とせるのは、交際費として使用した金額の9割がマックスでした。
- 2009年4月1日以前に終了した事業年度:年400万円までの交際費のうち9割を経費で落とすことができる
- 2013年3月31日以前に開始した事業年度:年600万円までの交際費のうち9割を経費で落とすことができる
2013年4月以降は、景気対策のため経費に落とすことができる交際費の枠が拡大され、年800万円以下であればその全額が会社の経費として落とせることになりました。
※ なお、ここでの中小企業とは、資本金が1億円以下の会社で、資本金5億円以上の会社の100%子会社などは除かれます。
大企業の場合でも接待飲食費は会社の経費で落とせる
景気対策としての交際費規制の緩和は、大企業向けの接待飲食費についても行われています。
1人当たり5,000円以下の社外飲食費は全額経費で落とせる
社外の事業関係者との飲食などの費用については、1人あたり5,000円以下で次の事項を記載した書類を保存している場合には、会社の経費にすることができます。
- 飲食等の年月日
- 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
- 飲食等に参加した者の数
- その費用の金額並びに飲食店等の名称及び所在地(店舗がない等の理由で名称又は所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の名称、住所等)
- その他参考となるべき事項
上記のうち1,4,5は領収書などに記載されていますので、2と3(これも場合よってはレシートに印字されている)を別途メモをとっておくことで、要件を満たします。
なお、社外の事業関係者というのは、グループ会社の役員や従業員も含みます。会社によっては、グループ会社と言っても社内の人という感覚をもって接しているところもあるとは思いますが、あくまでも会社ごとで判定しますので、在籍している会社が違えば、グループ会社の社員も社外の者になります。
1人当たり5,000円を超える社外飲食費はその50%相当額を経費で落とせる
社外飲食費が1人当たり5,000円を超えてしまった場合はどうかというと、その半分までが会社の経費にすることができます。
なお、こちらの制度は中小企業でも使うことができますので、社外飲食費が1,600万円を超えるような場合は、中小企業の特例よりも有利になります。
例:社外飲食費が2,000万円かかっている中小企業の経費に落とせる金額
中小特例:800万円
50%損金算入の制度:2,000万円×50%=1,000万円
∴ 1,000万円まで会社の経費として落とすことができる
まとめ
中小企業で年間の交際費が800万円以下の場合、忘年会が交際費だろうが福利厚生費だろうが、どちらも全額会社の経費に落とせますので、忘年会が交際費か福利厚生費かを気にする必要はありません。
しかし、交際費が800万円を超える中小企業の場合は、忘年会が交際費になると会社の経費に落とせる金額が制限されてしまいます。
大企業の場合は、社内の人間だけで行う忘年会が交際費になってしまうと、上記で述べた社外飲食費の特例も受けられませんので、会社の経費に落とすことはできなくなってしまうのです。
つまり、交際費が800万円を超える中小企業や大企業の場合には、忘年会が全額経費に落とすことができる福利厚生費に該当するかどうかで税金の金額が変わってしまうのです。
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【編集後記】
アメリカ大統領選挙、トランプ氏が勝利しました。今後、日米関係はどうなるのでしょうか。株価の動き、為替の動きが気になるところです。
【昨日の一日一新】
夢の郷
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