私が経験した税理士講座簿記論の講師という仕事

2017年8月2日

——※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。———

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私は、大学卒業後、税理士講座簿記論の講師という仕事をしていました。税理士試験向けの資格の学校と言えば、OとTの2つが高いシェアを占めています。私が在籍していたのは、Tの方です。

ms416 / Pixabay

講師という仕事をして身に着けたこと、感じたこと

いつもと同じスピードで話をすると伝わらない

普段の会話と違い、授業を聞いている方に、その話している内容を理解して覚えてもらわないといけません。

学ぶ方にとっては初めて耳にする言葉もたくさんでてきます。いつもよりもスピードを落として、ゆっくりと話をすることを心掛ける必要があります。

原稿の作成時に気を付けるべきこと

教材作成時に意識しなければならないことの一つとして、正しい日本語を使うことが挙げられます。下記のことなどを意識する必要があります。

  • 主語と述語が対応しているか?
  • 漢字を使うべきか?それともひらがなを使うべきか?(「しかし」とすべきか、「然し」とすべきかなど)
  • 漢字の変換ミスはないか?
  • 文章の長さ(長いと読みづらいので、長い文章にならないように注意する)

継続して勉強を続けることは難しい

講座が開講したとき、教室いっぱいにいた受講生が徐々に減っていきます(これは講師にならなくても教室で授業を受けていればわかりますが)。税理士試験は、会計事務所などに勤務しながら働いている方が多く、仕事が忙しくなると、授業に出れない、授業に出てもテストを提出しなくなる、モチベーションが低下するといった方が増えていきます。

どのような状況下においても継続して勉強をし続ける」ということができれば、税理士試験の合格可能性は大幅に上がります。

講師の仕事内容

講師の仕事といえば、授業をするというのが一番のメインの仕事です。しかし、授業以外の他にも、教材を作成したり、電話での質問を受け付けたり、受講生を集めるためのセミナーを行ったりといった仕事があります。

授業

当たり前の話ですが、講師のメインの仕事は授業です。この授業に備えるために必要なのが、予習の時間です。事前に授業の段取り、話す内容、板書の内容などを入念に練らなければなりません。授業時間は毎回一定ですが、論点ごとにそのボリューム、難易度が異なりますから、それに合わせた時間配分を練らないと授業が早く終わってしまったり、大幅に延長してしまったりします。また、数字を使った例を予習なしで扱ってしまうと、授業を行いながら電卓をパチパチして効率が悪いですし、計算ミスするリスクも高くなります。

教材の作成

授業を行うにしても、教材がないとできません。そこで誰が教材を作成するかというと、講師自身が作成を行います。テキスト、トレーニング、ミニテスト、実力テスト、答練、市販の問題集など、すべて講師によって作られているのです。

私は講師の仕事のうち教材の作成の比重が高く、多い年で答練の問題の3分の1近くを作成した年もありました。

質問電話

受講生からの質問を電話で受け付けるというサービスがあるのですが、簿記は質問電話の数が多く、担当している時間はほぼ休む間もなく電話対応をしていました。

セミナー

受講生を集めるためのセミナーも講師の仕事の一つです。

私は税理士の仕事内容を説明するセミナーを行ったことがあるのですが、その当時の私は実務経験ゼロです。話している内容が自分でも腑に落ちないという苦い経験をしました。

自分が経験したことをさもやったことがあるように話す、これは私の苦手なことの一つです。

営業マンとしては失格なのでしょうが、それはそれでいざ仕事をしたときに相手の期待を裏切るということは少ないと思いますので、これは克服せずにそのまま行きたいと思います。

待遇

正社員or契約社員(?)採用

講師というと契約社員や業務委託という印象を受けますが、私は正社員として採用されました。そして、非常勤講師にならずに転職しましたので、非常勤講師の契約形態(契約社員or業務委託)は知りません。

当時は、正社員は授業を少なめにしてその分教材を作成し、非常勤講師は授業に専念というのが一般的でした。

給料、福利厚生

大学受験の予備校講師は給料が高いというイメージ、ありませんか。そのイメージ、少なくとも税理士講座の講師には当てはまりません。

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少子化とは言えども大学受験をする人は、税理士試験をする人に比べて遥かにたくさんいます。人気講師ともなれば、衛星放送で授業をし、本もたくさん出版して、「いつやるか?いまでしょう!」のキャッチフレーズでお茶の間の人気者になることも可能です。

私は講師を4年間勤めて、税理士法人へ転職しましたが、転職時の待遇は1年目のジュニアスタッフ扱い(末端の水準)でした。しかし、残業代込みで給与は百万円以上増えましたし、福利厚生も下記のように変わりました。

社会保険:協会けんぽ→TAA健保(健康保険料の料率が下がりました)

退職金制度:なし→確定給付年金制度

講師の評価のポイント

「合格率が高いと給料があがるのですか?」と聞かれることがありますが、これはNOです。

まず、科目合格したかどうかは、受講生の自己申告でしかわかりませんので、評価の指標とするのは無理があります。

また、税理士試験の合格率を考えると、10%程度の合格率の合格者の満足度を高める授業ではその他大勢の不合格者を満足させることができず、顧客が他の資格の学校へ流出してしまいます。

合格すべき方をちゃんと合格させつつも、不合格となってしまった方も満足するような授業運営が必要になるのです。

講師は人気商売です。受講生をどのくらい集めることができるか、受講生からの評判がよいかというのが大事になります。

受講生からの評判を確認するためにアンケートをとるのですが、私はこのアンケートが苦手でした。誰もがそうだとは思いますが、良いことを書かれることより悪いことを書かれたことのほうが強く印象に残り、心にダメージが蓄積されていきます。

当時、経験が浅かったので、下記のようなことを書かれると、悔しいものの改善していかなくては、と思うことができました。

  • 頼りない
  • ●●先生のほうが教え方が上手でよかった

しかし、こんなことを書かれると、なんだかなぁ、と思いました。

  • 板書時の漢字の書き順が違う(税理士試験の合格に関係ないじゃん・・・)
  • 声が嫌い(これは直せません…声帯の手術でもすればいい?)

無記名だからと言って、誹謗中傷のような内容を書くのは、人間としていかがなものかと思います。

退職した理由

ちゃんと仕事をしていれば、多くの人に感謝されるという仕事ですから、講師を長く続けている方もたくさんいます。

しかし、私は税理士試験に合格し、税理士になるという目的を貫き通したいと考えていました。そして、専門性の高いM&Aや国際税務など複雑な税務を取り扱って仕事をしたいという希望もあり、BIG4の一つである新日本アーンストアンドヤング税理士法人(現:EY税理士法人)へ転職しました。

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【編集後記】

土曜日のランチは家族で六本木のきよやす亭へ行きました。そのとき、店の真ん中の池(?)をメダカが泳いでいるのを子供が発見。以前、会社の人と良く行っていたのですが、その時は全く気付かず。一緒に行く人が違えば、新しい発見があるものですね。

【一日一新】

金曜日:ファミマの牛肉弁当

土曜日:国立新美術館

日曜日:Colombiaのリュックサックを購入

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