【税務調査】SuicaやPASMOのチャージ代の領収書は経費として認められるのか?


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最近、税務調査ではSuicaやPASMOのチャージ代をどう処理しているか確認されるケースが増えているようです。

個人事業主や会社でSuicaやPASMOの入金の領収書を経費としている場合、その経費は認められない可能性があるので要注意です。

SuicaやPASMOのチャージ代が経費として認められない理由

SuicaやPASMOなどの電子マネーは現金と同じ

「SuicaやPASMOのチャージ代は電車代にしか使わない」というのは、もう一昔前のことです。

最近では、コンビニ、キヨスク、本屋、喫茶店、BARなど様々なところで支払い手段として使うことができます。

ですから、SuicaやPASMOへのチャージ代というのは、税務著は次のように見ています。

SuicaやPASMOへのチャージは現金というお金から電子マネーというお金への交換

SuicaやPASMOなどの電子マネーを経費にするには

SuicaやPASMOへチャージしただけでは「現金を預金口座に入金して普通預金にした」のと同じ取り扱いなので、経費にはできません。

それでは、どのようにしてSuicaやPASMOへのチャージ代を経費にすればよいのでしょうか。

 

SuicaやPASMOへのチャージ代を経費にすることができるタイミングは、電車賃やその他の経費を支払ったときです。

経費についてはレシートや領収書をもらうことができるので、それを保存しておけばよいでしょう。

では、電車賃はどうするかですが、方法はいくつかあります。

  • 駅の券売機で利用履歴を印字
  • モバイルSuicaで明細を取得
  • 交通費精算書を作成する
  • 出金伝票を作成する

いずれかの方法で電子マネーの利用履歴を記録して、保存すればOKです。

なお、注意しなければならないのは、駅の券売機やモバイルSuicaで確認できる利用履歴です。

こちらの明細の保存は100件を上限としているため、頻繁にSuicaやPASMOを利用される方はこまめに印字 or モバイルSuicaでの明細取得をするようにしましょう。

税務調査官の話によると、税務署の権限をもってしても100件を超過した明細を入手することはできないようです(印字できないだけでなく、本当にデータを破棄してしまうということなのでしょう)。

【関連記事】

SuicaやPASMOのチャージ料金は経費にならない~交通費の明細の記録はクラウド会計が便利~

税務調査でSuicaやPASMOのチャージ代が狙われる理由

税務調査官にとって、はSuicaやPASMOのチャージ代は要チェックポイントになっています。

その理由は、以下の通りです。

理由1  Suicaで何でも買える

今やSuicaで何でも購入することが出来ます。

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Suicaのチャージ代をすべて「旅費交通費」で処理していて、実はプライベートのものを買っていたというのはよくある話です。

社長という立場で従業員の旅費交通費をどこまで認めるかとなったとき、従業員が経費申請したSuicaやPASMOのチャージ代をそのまま認められるかというと、普通は認めがたいところでしょう。

プライベートで使っているかもしれないチャージ代をそのまま会社の経費として認めてしまうというのは、経費の使い込みを許すのと同じことです。

そう考えると、税務署の調査官がSuicaのチャージ代を疑ってかかるのって当然ですよね。

「疑って、探って、見つけて、指摘して、払わせる」のが彼らの仕事ですから。

理由2 二重経費になっている

経費を何とかたくさんつけられないか?そう考えて、こういうことをする方がいるようです。

  • SuicaやPASMOのチャージ代を交通費として経費に入れる
  • SuicaやPASMOを使って支払った経費のレシートや領収書を経費に入れる

つまり、チャージ代と購入時の領収書等で経費を二重計上をしているのです。

このため、SuicaやPASMOのチャージ代を経費にしているのを発見した調査官は、SuicaやPASMOで支払った領収書等が経費に入っていないかどうか、支払い手段に着目しながら領収書等を確認するようになるのです。

理由3 明細保存がない

個人事業主や会社は、経費となる費用について、その支払いの証拠となる領収書等の保存が義務付けられています。

SuicaやPASMOのチャージ代は色々なものの決済手段として利用できるものですから、残念ながら、何に使ったのか、どのような経費なのかという証拠書類にはなりません(何でも買えるので)。

そして、SuicaやPASMOの利用履歴の印字は100件までですから、税務調査の時に慌てて印字しても「もはや時遅し」ということも少なくありません。

つまり、「何に使ったのかの証明ができない」状態になるわけですから、税務調査官としては否認しやすいのです。

理由4 チャージ代が経費になると勘違いしている専門家がいる

これは非常に残念なことなのですが、税金の専門家である税〇士の中にも、「チャージ代で経費でいいよ」という方が少なくないようです(私の周りにはいませんが)。

中には、チャージ代はOK、SuicaやPASMOでの支払の領収書はダメ!と言っている方もいるようで(逆です、逆!)。

二重経費になっていないだけマシではあるのですが。

SuicaやPASMOのチャージ代=電車賃

というイメージが抜けない方もいらっしゃるので要注意です。

理由5 重加算税になる場合がある

税務調査で税金が漏れていたことが発覚すると、通常の税金に加えて過少申告加算税などのペナルティが課されます。

過少申告加算税であれば、追加で支払う税額の10%(追加税額50万円以下の部分)または15%(追加税額が50万円を超える部分)の追加払いが必要です。

しかし、税務調査で「仮装隠蔽(かそういんぺい)」があったと認定された場合には、過少申告加算税に代え、重加算税(追加税額の35%)のペナルティが課されてしまいます。

なお、仮装隠蔽とは、帳簿書類を誤魔化して書いていたり、証拠書類を改ざんしたり、証拠隠滅を図ったりなどの悪さを働くことです。

 

SuicaやPASMOのチャージ代は

  • 故意に二重計上している
  • 証拠書類を廃棄して証拠隠滅している

と調査官に指摘されてしまうリスクがあります。

 

重加算税は納税者から見れば大きなペナルティですが、調査官からすれば「立派な成績」です。

 

そんな悪気はなかったのに重加算税だなんて・・・ということを避ける意味合いからも、Suicaの経理処理はきっちりとしたいものです。

【参考記事】

【会計freee】モバイルSuicaのチャージの決済をビューカードで行うときの留意点

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【編集後記】

昨日は午前中に税務顧問のお客様のもとへ訪問。

午後は税務署と税務調査対応の連絡。

夜は月1回の研修でした。

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※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

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