ひとりでできる合同会社の本店移転登記

2023年3月28日


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会社の本店の移転を行うときに必要な手続きの一つが、商業登記の移転手続です。

住所変更なので1枚の書類に書いておしまいとして欲しいところですが、会社の本店の移転については色々と手続きがあって少々手間がかかります。

つい先日、私が代表社員を務める合同会社の本店移転登記を行いましたので、その手続きの流れをお伝えします。

手続きを行うことができる者・会社

合同会社の本店移転登記は、次の者・会社が行うことが出来ます。

  • その合同会社の代表者・担当者
  • 弁護士
  • 司法書士

行政書士は、必要書類を作成することができますが、登記を行うことはできません。

税理士は専門外ですので、登記の業務を請け負うことはできません(法律上)。

弁護士は登記を専門とする方はあまりいらっしゃらないようです(少なくとも私は知りません)。

登記を行うのであれば、自分で行うか、司法書士の方に頼むかのいずれかが適しているといえるでしょう。

私は税理士ですので登記業務は引き受けておりません。

必要なときは、司法書士の方を紹介するようにしています。

この記事では自分で行う本店移転登記を紹介していますが、読んで

「めんどくさそうだなぁ」

と感じたら、司法書士の方に相談しましょう。

合同会社の本店移転登記に必要な手続

定款変更

合同会社の本店は定款の記載事項であり、定款の記載内容や移転場所によって定款変更が必要な場合とそうでない場合があります。

例えば、定款の記載内容が以下の通りだったとしましょう。

第3条 当会社は,本店を東京都千代田区に置く。

この場合、千代田区内で本店の移転を行うのであれば定款変更は必要ありません。

しかし、東京都千代田区以外に移転を行う場合には定款変更が必要になります。

合同会社の場合、定款を変更するには、原則としてすべての社員の同意が必要となります。

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なお、ここでの社員とは従業員のことではなく、合同会社へ出資した人や会社のことを指します。

そして、すべての社員が同意した旨を称する書面として、「同意書」を作成します。

私の会社では、下記の書面を作成しました。

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定款記載の本店所在地

定款記載の本店所在地は、下記の2通りの方法があります。

1.住所をそのまま記載する

2.最小行政区画まで記載する

2の方法の場合、上記の例の通り、ビルのフロアだけ変わった場合や近所に引っ越したというちょっとした移転の場合には定款変更を行う必要がないというメリットがあります。

本店移転の決定

定款変更を行ったら、次に本店が移転することを決定します。

この決定についても、「決定書」、「協議書」といった書面を作成する必要があります。

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※ 法務省ホームページ掲載の記載例より引用

合同会社本店移転登記申請書

上記の2つの書面が出来上がりましたら、これらを申請書に添付して法務局へ提出します。

提出の方法としては、電子申請という方法もありますが、会社の電子証明書が必要であり、この取得の手続きの手間がかかってしまいます。

電子証明書がない場合は、以下の2通りの方法となります。

  1. 書面にて移転前の法務局へ提出
  2. 電子署名不要のオンライン提出を行い、その後、移転前の法務局へ書面を提出

2のオンライン提出は、登記手続きの進捗状況がインターネットを通じて把握することができるというメリットがありますが、書面で申請書を提出しなければならないということを考えるとオンライン申請をする分だけ手間が増えてしまいます。

法務局の受付担当の方に「オンライン申請ってメリットあるのですか」と聞いたところ、

「法務省はオンライン申請を勧めているようですけど・・・ムニャムニャムニャ(言葉を濁す)」

という感じでした。

法務局ホームページ上には記載例が掲載されています。

こちらは「オンライン申請」を前提としているので、オンライン申請を行わない場合には、「オンライン申請」に係る文言を削除して作成していけばよいでしょう。

なお、この申請書作成のためのテンプレートは、法務省ホームページ内の下記リンクの場所に掲載されています。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#anchor3-3

また、管轄外へ移転する場合には、印鑑登録も再度行う必要があります。

そのため、法務局で手続きを行う場合には、会社の実印を持参するようにしましょう。

本店移転登記にかかるコスト

登録免許税

本店移転登記を行うには、登録免許税を印紙で納付する必要があります。

登録免許税は、下記の通りです。

  • 管轄内:3万円
  • 管轄外:3万円×2か所=6万円

この管轄内、管轄外というのは、下記の法務局のリンクから確認することができます。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html

私の場合、千代田区から北区への移転でした。

千代田区は東京法務局本局の管轄、北区は北出張所の管轄となりますので、登録免許税は管轄外ということで6万円かかりました。

大した距離じゃないのに高いですよね・・・

なお、支店がある場合には、支店に係る登記としてさらに1件につき9千円かかります。

司法書士報酬

司法書士の方へ登記を依頼する場合、登録免許税とは別に司法書士報酬が必要となります。

報酬は業務範囲によるところかとは思いますが、数万円程度かかると想定しておくとよいでしょう。

自分で登記する場合には、当然のことながらこちらの報酬は発生しません。

なお、法務局では司法書士による無料相談を実施しています。

自分で登記申請書類一式を作成する場合でも、事前に法務局へ相談の予約して司法書士へ相談してから申請書類を提出すると安心でしょう。

自分で本店移転登記を行うメリット・デメリット

今回、私は自分で本店移転手続を行ったのですが、そこで感じた自分で本店移転登記を行うメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット

  • 本店移転登記の仕方を学ぶことが出来る
  • 定款の変更の仕方が理解できる
  • 合同会社の意思決定の手続が学べる
  • 司法書士報酬がかからない

やはり、コストがかからないというのが一番のメリットといえるでしょう。

デメリット

  • 手続きが面倒くさい
  • 慣れていないとこの手続だけで1日以上かかってしまう

たかが住所変更といえども、登記手続となると煩雑になってしまいます。

下手すると、1日だけでは終わらず、2日以上かかってしまうことも…。

そこに時間をかける分だけ、本業の売上が減ってしまったり、余暇の時間が減ってしまったりしてしまいます。

この手続きに時間がかかってしまって売上減ってしまうようであれば、司法書士の方に依頼したほうが経済的です。

また、業務量の多い方が余暇を削ってまで対応するというのも、疲れを残すなどで本業に支障をきたしますのでお勧めできません。

まとめ

合同会社の本店移転手続をまとめると、以下の通りです。

  • (必要に応じて)定款変更に関する同意書の作成
  • 本店移転の決定に関する決定書、協議書などの作成
  • 本店移転申請書の作成
  • (管轄外の場合)印鑑登録の申請

頑張って時間をかければ、自分でできる手続といえるでしょう。

しかし、時間を節約するのであれば、司法書士へ依頼したほうが経済的にも効率的といえます。

どちらがよいのか、ご自身の状況を踏まえて検討するとよいでしょう。

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【編集後記】

まだ現在のレンタルオフィスの契約期間が残っていますが、土曜日に荷物の大半を新事務所へ運びました。

ペーパーレスなので引越し業者なしで大丈夫だろうと高を括っていたのですが、思いのほか荷物の量が多く・・・。

レンタルオフィスの私の個室は4階にあり、エレベーターはありません。

それを重たい段ボールを持ちながら5~6往復くらいしました。

その影響で昨日から腕と太ももが筋肉痛です。。

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※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

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