起業するときに考慮しておきたい消費税のこと~消費税の納税義務~

2020年4月5日


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起業すると、色々な税金の問題に直面します。特に消費税については、選択肢がいくつかあり、その選択によって納税額が大きく異なるため、注意が必要です。

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消費税の納税義務者とは?

消費税の負担は消費者だけど納税する義務があるのは事業主

消費税とは、負担しているのが最終消費者である個人ですが、それを国に納税することが義務付けらえているのは、消費者から消費税を扱った事業主です。この消費税を納める義務を負う事業者を納税義務者といいます。

納税義務者自身も物を購入したり、サービスを受けたりするときには消費税を払っており、その払った消費税については支払先が国へ納税することになりますから、納税義務者である事業者が納税する消費税の大雑把なイメージは、下記の通りです。

消費者から預かった消費税ー支払った消費税=消費税の納税額

前々年又は前々事業年度の課税売上が1,000万円以下の場合は納税義務なし

ただし、零細な事業主については、消費税の納税義務が免除されています。基準期間(個人事業主にあっては前々年、法人にあっては前々事業年度)の課税売上(※)が1,000万円以下の場合、事業主は預かった消費税を国に納付する必要はありません。

なお、新設法人については1期目、2期目については基準期間がないため、免税事業者に該当することになりますが、資本金が1,000万円以上の法人などについては、設立初年度から納税義務者に該当することになります。

※ 課税売上とは消費税の課税対象となる売上をいいます。基本的には、事業主が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付、サービスの提供は消費税の課税対象になりますが、預貯金の利子のように消費という性質になじまないものや、居住用住宅のように社会的配慮により消費税の課税対象とならないものもあります。

前年の1月~6月まで又は前事業年度の上半期の給与支払額が1,000万円を超えると納税義務あり

原則は上記で述べた通り、2年前の期間を基準に納税義務の判定をするのですが、特定期間(個人事業者にあっては前年の1~6月まで、法人にあっては前事業年度の上半期)の課税売上が1,000万円を超える場合には課税事業者となります。ただし、この1,000万円以上の判定においては、課税売上に代えて、支払った給与の額で判定することも可能です。

したがって、一般的には、特定期間の給与支払額が1,000万円を超えた場合には納税事業者になると考えておけばよいでしょう。

免税事業者であっても納税義務者になることができる

免税事業者であっても、「消費税課税事業者選択届出書」をその適用を受けようとする課税期間開始の日の前日までに提出することにより、納税義務者になることができます。なお、事業を開始した場合には、その開始した年又は開始事業年度終了の日までに届出書を提出すればOKです。

預かった消費税よりも支払った消費税のほうが多い事業主は、納税義務者になることを選択することにより、支払った消費税のうち、預かった消費税を超える部分の金額の還付を受けることができます。一般的には、下記の場合には、課税事業者を選択したほうが有利になります。

  • 主に輸出事業を行っている事業主(輸出については消費税は免除されるため)
  • 不動産業のように、初期の設備投資が多額である事業主

なお、課税事業者を選択した場合、最低2年は課税事業者でなければならない点に注意が必要です。

個人事業主が法人成りするときの消費税の納税義務は?

個人事業主とその個人事業が法人成りしてできた会社とは、別人格として取り扱われます。したがって、個人事業主で課税事業者となったものが法人成りした場合、資本金が1,000万円未満であればその法人は免税事業者に該当します。

まとめ

個人事業主として事業を開始するか、会社を設立するかという選択をするとき、この消費税の問題についても考慮に入れる必要があります。まずは個人事業主としてスタートして法人成りするほうが、より長い期間免税事業者でいられることになるでしょう。ただし、輸出事業を行う場合には、課税事業者を選択すれば還付を受けることになるだけですので、個人でスタートしても、法人でスタートしても変わりはないでしょう。

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【編集後記】

今週は4日連続で23時50分以降のブログ更新となってしまいました。。

【昨日の一日一新】

三菱ビル

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※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

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