オーナー会社の場合、株式会社よりも合同会社のほうが本当は適している(知名度というものを除けば…)

2017年7月15日


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合同会社は2006年5月1日の会社法施行と共にできた会社形態です。2006年の合同会社の設立は3,392社でしたが、2016年には23,787社まで設立数が増えました。ただ、2016年の株式会社の設立数は90,405社であり、それと比べるとまだまだ合同会社の設立は少ないといえるでしょう。

出資者=役員といえば合同会社

株式会社は、所有と経営の分離が図られています。株式会社の場合は、所有と経営が分離しているので、株主総会や取締役などの機関設計が必要であったり、役員の任期が最長10年であったり、決算公告義務があったりと何かと法による規制を受けます。そして、株主が会社の債務に対して負う責任は、出資額を限度とします(有限責任制)。

これに対し、合同会社は、所有と経営が一致している持分会社と呼ばれる形態の一つです。合同会社の場合には、出資者=役員という位置づけですから、広く定款自治が認められており、社員総会(株式会社の株主総会に相当するもの)を開催する必要なく、社員全員(合同会社の場合、出資者のことを「社員」と呼びます。株式会社の株主に相当します。)の同意があれば業務執行できます。出資者=役員ですから、出資を止めない限り、通常は役員であり続けます(定款自治ですから、出資しても役員にならないことも可能です)ので、役員の任期はありません。決算公告も不要です。出資者=役員という形態ではありますが、有限責任制です。

現在の中小企業の状況を見ますと、株式会社であっても、

  • 株主=役員
  • 事業承継するまでは役員を継続(実質、任期なし)
  • 決算公告はしない

という会社がかなり多いのが現状です。

役員の任期は最長10年であり、再任する場合であっても登記が必要です。登記するのには登録免許税3万円がかかり、もしこれを失念すると100万円以下の過料が科されてしまいます。

決算公告は、官報に掲載する場合で約6万円かかります。決算公告をしないと、法律上は、100万円以下の過料が科されることとなっています(ただ、実際に過料を科されたという話は聞いたことがありませんが…)。

合同会社であれば、当然のように出資者=役員ですし、役員の任期はありませんし、決算公告義務もありません。

つまり、日本のほとんどの中小企業は、本当は合同会社で問題ないし、むしろそのほうが実態に即しているといっても過言ではないでしょう。

合同会社を阻むもの、それは知名度

会社法施行前は、株式会社を設立するには、資本金1000万円以上が必要でした。そして、1,000万円用意することができない場合には、有限会社として会社を設立していました。

それが、会社法の施行時に有限会社は廃止され、株式会社の資本金規制がなくなり、1円の資本金で株式会社を設立することができるようになりました。

ただ、そうはいっても、株式会社という知名度ですから、実は1円からの出資が可能であっても、株式会社というだけでそれなりの信頼を得ることができます。

それに対して合同会社はというと、知名度の低さから、「合同会社ってなんですか?」と聞かれてしまいます。

知名度不足のため、B to Bのビジネスでは、足を引っ張ってしまうこともあり得ます。採用活動にもマイナスに働くかもしれません。

しかし、知名度以外で株式会社が合同会社よりも優れていると言えることは何でしょうか。

経営者=役員であるのならば、将来的に上場できるかどうかの違いなのでしょう。それ以外は、合同会社の方が中小企業としてはしっくりくるはずなのです。

知名度というふんわりしたもので、株式会社を選ぶことが多いのが現状なのでしょう。

合同会社を設立した身としては残念ですが、まだまだ合同会社の知名度というのはその程度です。

まとめ

本当は合同会社のほうが中小企業には向いているのかもしれないけど、お客様の信頼を得るためには株式会社の方がというのが現状です。私は敢えて合同会社を作りましたが、「合同会社って何ですか?」、「なぜ合同会社にしたのですか?」と聞かれることが多く、それがストレスになるようであれば株式会社でもよいとは思います。私も好奇心で、合同会社から株式会社への組織変更をやるかもしれませんし。

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参考書籍

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【編集後記】

確定申告が終わり、原稿の締め切りが終わり、そろそろ自由に時間を使えるのでは?と期待していましたが、今週はそうはいきませんでした。

来週こそは、ネクストステップに向けて、自分の時間を作りたいと思います。

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また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

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