事業年度の変更手続と確定申告をする際の留意点(添付書類と確定申告の時期)

2021年10月2日


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※ 国立美術館にて

会社の決算期は、変更することが出来ます。

会社を設立してから1年後に決算期を迎えるように決算期を設定したが、決算期が繁忙期と重なってしまっている

会社をいくつかもっているが、決算期がバラバラで全体の業績(連結後の業績)が分かりにくく、決算期を統一したい

決算日直後が繁忙期なので決算日の在庫を抑えめにすることができない

といったように、現状の決算期が都合が悪い場合には、その時期を変更することが出来ます。

【関連記事】

事業年度は変更してもOK?変更するならいつにすればよい?

事業年度の変更手続

臨時株主総会による事業年度変更

会社の事業年度については、定款の記載事項であることから、定款変更が必要となります。

定款変更には、株主総会の特別決議が必要です。

特別決議を行うためには、議決権を行使することが出来る株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。

多くのオーナー会社では、実際に株主総会を実施するというよりも、臨時株主総会の議事録を作成するだけで済ませているのが実情化とは思います。

臨時株主総会の議事録のサンプルは、以下の通りです。

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なお、事業年度の変更は登記事項ではありませんから、法務局での登記は不要となります。

税務署等への異動届出書の提出

事業年度を変更すると、確定申告の時期が変わります。

そのため、以下の税務署等へ異動届出書を提出することになります。

・ 所轄の税務署

・ 事務所所在の都道府県税事務所

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・ 事務所所在の市役所、町役場、村役場

注意すべきなのは、都道府県や市町村への異動届出書です。

事務所が所在するすべての都道府県、市町村へ異動届出書を提出しなければなりませんから、事業所の数が多ければ多いほど大変です。

地方税の異動届出書は、eLTAX(エルタックス)と呼ばれる地方税ポータルシステムから送信することができます(電子証明書をお持ちの場合)。

こちらで送信する場合には、作成した書類の複写機能があるため、1つの地方自治体の分を作成すれば、残りの分は複写機能を駆使して手軽に作成することができます。

また、一度にまとめて送信できるため、書面で送る場合(各地方自治体ごとに封筒を用意して封入作業をしなければならない)と比べると、所要時間と手間を軽減することができます。

異動届出書の添付書類の留意点

税務署へ提出する異動届出書については、下記の国税庁ホームページに記載要項や添付書類が記載されています。

[手続名]異動事項に関する届出

注目すべきは、添付書類の箇所です。

以下の通りの記載となっています。

[添付書類・部数]

なし
なお、異動事項の内容確認のため、登記事項証明書、定款等の写しを確認させていただく場合があります。

さらに、異動届出書のファイルへのリンクの下にはこんな記載もあります。

(注)添付書類が不要ですので、e-Taxでの提出が便利です。
ただし、異動事項の内容確認のため、登記事項証明書、定款等の写しを確認させていただく場合があります。

e-Taxで送れば添付書類が不要と書いています。

しかし、但し書きで「登記事項証明書、定款等の写し」の確認が必要な場合があると書かれています。

添付書類なしで送付すると、後で税務署から電話がかかってきて、追加資料をFAXか郵送で送ってくれと言われてしまう可能性があるので、添付不要とは言えども必要書類を添付するようにしましょう。

定款の変更だから「定款」の写しを合わせて送ればよさそうなのですが、これだと不十分です。

定款の手続きが株主総会の特別決議により行われますので、「株主総会議事録」の写しを添付するようにしましょう。

とある税務署の管理運営部門の方によると、その税務署では事業年度変更の場合には必ず「株主総会議事録」を確認しているとのことです。

事業年度が1年を超える場合の確定申告の時期

事業年度というとほとんどの会社は1年間ですが、事業年度を変更した場合には事業年度=1年間とはなりません。

例えば、2018年4月~9月の間に3月決算から9月決算への変更を行った場合であれば、

  • 2017年4月1日~2018年3月31日(変更前の事業年度)
  • 2018年4月1日~2018年9月30日(変更時の事業年度)
  • 2018年10月1日~2019年9月30日(変更後の事業年度)

というように、変更時の事業年度だけ6か月間になります。

 

通常、事業年度は1年以下にしなければならないのですが、事業年度変更の場合には、変更時の事業年度については1年を超える事業年度にすることが可能(最大1年6か月まで)です。

例えば、2018年3月に3月決算から9月決算への変更を行った場合であれば、

  • 2017年4月1日~2018年9月30日(変更時の事業年度)
  • 2018年10月1日~2019年9月30日(変更後の事業年度)

というように、変更時の事業年度を1年6か月にすることが可能です。

ただし、この場合に気を付けなければならないのは確定申告です。

法人税や消費税では、事業年度が1年を超える場合には、事業年度開始日から1年を経過したところで一度区切って確定申告をする必要があります。

したがって、確定申告にあたっては、以下の事業年度に区切っての確定申告が必要です。

    • 2017年4月1日~2018年3月31日(みなし事業年度)←2018/3/31で1年となるので一度区切る

 

    • 2018年4月1日~2018年9月30日(みなし事業年度)←上記で区切った日の翌日から決算日まで

 

  • 2018年10月1日~2019年9月30日(通常の事業年度)

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【編集後記】

昨日は来月から税務顧問を開始するお客様の元へ訪問しました。

国際税務に強い税理士を探していたところ、当ブログを見つけていただき、お問い合わせをお頂きました。

国際税務はもちろんのこと、経理の効率化でもお役に立てそうですので、今後が楽しみです。

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    ※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

    また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

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