Big4税理士法人(税務コンプライアンス部門)の繁忙期と閑散期

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Unsplash / Pixabay

一般的に1月~3月は、会計事務所の繁忙期と言われています。私が所属していたBig4税理士法人の税務コンプライアンス部門も1月~3月はbusy seasonと言われ、最も忙しい時期でした。ただ、忙しい理由は、個人の確定申告ではありませんでした。クライアントが法人だけだったのに忙しかったのです。

※ 私がBig4税理士法人に所属していたのはもう5年ほど前なので、現在とは多少状況が異なっているかもしれません。

BIG4税理士法人と他の税理士法人・会計事務所との違い
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1~3月が1年で最も忙しい

Big4税理士法人のクライアントは、外資系企業の日本子会社が多いです。そして、外資系企業は12月決算としていることが多いことから、1~3月が1年で最も忙しい季節です。

1月は外資系企業の本国へのレポートと監査のピーク

Tax Package

年末年始の休暇明けにまず発生する仕事が、本国へのレポートの一つであるTax packageの作成です。Tax Packageでは、税金勘定(法人税等、繰延税金資産及び負債)に関する情報を入力します。

Big4税理士法人のクライアントである外資系企業の日本子会社は、親会社が本国で上場しているなどで監査を受けている会社が多く、1月1週目~2週目にかけて単体決算を締めなければなりません。そして、そのうち税金に関する部分に関して、Tax Packageという税金勘定のレポートを作成し、本国へ報告します。

Tax Packageは、本国へのレポート用ですから、英語で作成しなければなりません。そして、社内資料であることから、会社によってテンプレートが異なります。税効果に至っては、会計基準が国際会計基準や米国会計基準を採用していることから、税務調整項目だけでなく、会計基準の差異も一時差異として税効果の対象となります(さすがに、これはクライアントの経理担当に把握してもらうのが一般的ですが)。

税金勘定以外が締まってから作業に取り掛かり、1~2日で法人税、住民税、事業税の税額を求めて未払法人税等を把握し、別表5(1)の項目と会計基準差異を税効果会計の対象である一時差異残高と合わせてTax Packageに入力してクライアントへ納品します。

Tax review(タックスレビュー)

外資系企業の日本子会社については、本国の監査に付随して、日本でも監査が行われます。Big4の会計事務所では、監査手続の中で税金に関する事項については税務専門家がレビューするとのポリシーがあり、監査法人からの依頼を受けて税金勘定についてその金額の妥当性を確認します。

クライアント先へ訪問するのは、1~2日です。子会社だけあって、日本では規模が大きくないところも多く、訪問は1日で終わることが多いです。

仕事の相関図は、下図の通りです。

20170124ブログ用

図でお分かりの通り、税理士法人は、下請けの日本の監査法人のさらに下請けです。

Tax PackageとTax reviewの難易度ですが、税務という観点では難しいところはあまりありません。外資系企業の日本子会社の税務は、帳簿書類が英語であるけれども、その内容は国内税務です。英語でレポートを作成するというのが、最大のネックとなります。

償却資産税と支払調書

Big4の税理士法人では、経理部や人事部、総務部などがあるクライアントが多いため、支払調書を作る機会は少なめです。償却資産税もクライアントの経理部で済ませてしまうこともあるため、償却資産税や支払調書で忙しくなるということは、あまりありません(不動産を扱っている部署は、新築ビルの償却資産税をやることもあり、その時は恐ろしく大変ですが)。

2月は12月決算法人の消費税確定申告と法人税等の見込納付額算定のピーク

12月決算のクライアントが多いことから、2月は法人税等の確定申告のピークです。とはいっても、申告期限の延長を受けているクライアントが多いため、2月は消費税確定申告と見込納付額の算定でピークを迎えます。

確定申告期限を1月延長しているとはいえ、利子税などの余分な支出が発生しないよう、2月にはほとんどのクライアントの税額を確定させるようにしています。

ちなみに、私の場合、1年で一番残業時間が多かったのが2月でした。

3月は法人税等の確定申告書を作成

申告期限を延長しているため、2月に後回しにした減価償却資産の別表作成などの税務調整がないけど作成が面倒くさい作業を3月に行っていました。また、赤字で法人税等が発生しない会社は、2月の段階ではパスして3月に所得計算をして労働時間の分散化をしていました。

2月ほどではないにしても、確定申告書作成のための最終チェックを行うための時間がかかったり、課税所得があるにも関わらず2月に作業が終わらなかったクライアントなどもあるため、2月同様に残業の多い月でした。

4~6月は1~3月の次に忙しい

4月は国内大手上場企業の監査で事務所にいる暇がない

4月は国内大手上場企業の監査のシーズンです。会計士の方は、一つの会社専属と言っていいくらい、クライアント先で仕事をしているのですが、税理士の場合は、税金勘定のレビューのみですから、一つの会社あたり2~3日で10社弱担当していました。そのため、4月はほとんど事務所にいる時間がありませんでした。

税務上の論点という意味では、この3月決算の国内大手上場企業のタックスレビューが一番、難易度が高いです。

税制改正は4月1日以後開始事業年度から適用されるものが多いのですが、それが初っ端から大企業相手に行うので、勉強が大変です。

外国子税額控除、タックスヘイブン税制、合併などの組織再編税制が次々と登場し、しかも、その段階では税制改正があった論点についての別表を作ったことがないという中、短時間で仕事をしなければならないというのは、中々のものでした。これで、かなり鍛えられたと思います。

5~6月は国内大手上場会社の子会社の消費税確定申告や法人税等の確定申告など

国内大手上場企業は、申告書の作成を内製化しているところが多く、税理士法人の仕事としては、その子会社の確定申告などが中心でした。外資系企業に比べると、税務上の論点も多く、歯ごたえのある申告書作成を作る機会が増えます。

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ただ、外資系企業に比べると、国内企業のクライアントは少ないため、1~4月に比べると残業がやや少なくなってきます。特に、6月は業務量が減り、パフォーマンスの評価や社内の人事異動などに関心が移っていきます。

7月~9月はゆとりのある時期

7~9月は、業務量が最も少ない時期です。記帳代行や給与計算を請け負っているクライアントはそれほど多くないため、記帳代行や給与計算のクライアントを担当していない人にとっては、長期休暇を取得する大チャンスです。

税理士試験を受ける方の中には、7月中旬から試験日まで約1か月の休暇を取り、試験勉強に充てる方もいます。私も、Big4税理士法人就職後の1年目は税理士試験を終えていなかったため、1か月の試験休暇を取りました。

1か月の試験休暇、これはかなり大きいです。これまで仕事で勉強できなかった分、その1か月で取り戻し、しっかりと所得税に合格して官報合格を果たすことが出来ました。

会計事務所では職員に勉強する時間を与えず、税理士になれないように妨害している(独立してお客さんを取られたら困るため)と言われるブラック会計事務所が多いとの噂を聞きますが、Big4はそのようなことはなく、税理士試験に合格する方が多いです。

その代わり、独立してもBig4税理士法人のクライアントを自分のお客さんにするのは、果てしなく困難ではありますが。

税理士登録に関しても、所長にハンコを押してもらうためにお願いしにいくというスタイルではなく、人事部に書類を提出して流れ作業で行われるので、非常に気が楽でした。

10月~12月は1~3月の準備期間

10月~12月は1~3月の準備期間です。クライアント周りをして、契約を更新や今年度の状況の確認を行ったりするなど、busy seasonへ向けて、動き始める時期です。

12月は年末調整の時期ではありますが、給与計算のあるクライアントを担当しない限り、その苦しみを味わうことはありません。

とはいえ、そこで楽をしすぎると1月以降の繁忙期がきつくなります。この時期での事前準備が繁忙期を迎え撃つにあたり、とても大事になります。

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【編集後記】

この時期になると、税理士法人時代のBusy seasonを思い出します。確かに、残業は多かったのですが、そんな中でも同期や年の近い先輩、後輩が沢山いて、辛いながらも充実した日々を過ごしていたなぁと懐かしく思います。

とは言え、当時みたいに毎日のように終電後にタクシーで帰る生活はもうしたくはありませんが…(^-^;

【昨日の一日一新】

企業版ふるさと納税の研究

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------※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。---------

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