2016年度税制改正で導入された企業版ふるさと納税。個人のふるさと納税と言えば、2000円の自己負担で様々な返礼品を獲得し、実質プラスというお得な制度ですが、企業版ふるさと納税はそのようなお得な制度ではありません。少子高齢化社会の中、地方で人口が減少し、地域の活力が失われていくことのないよう、企業から寄附をしてもらい、地域を創生しようという取り組みのもと、創設された税制です。
企業版ふるさと納税のメリット
税制優遇
企業版ふるさと納税として企業が地方公共団体へ支払った金額は、支払った事業年度の損金に算入されます。
これに加えて、法人住民税と法人税で寄附金額の2割、事業税で1割の税額控除を受けることができます。
※ 『地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)活用の手引き』(内閣府地方創生推進事務局)より引用
つまり、通常の地方自治体への寄付金の場合、損金算入による軽減効果約3割を差し引いた7割を企業が負担するのに対し、地方創生応援税制の場合には、約4割の負担で地方公共団体へ寄付することが出来るのです。
CSR活動として
企業の社会的責任(corporate social responsibility、略称:CSR)を果たすための活動の一環として、企業版ふるさと納税を活用し、企業の取り組みをステークホルダーにアピールすることができます。
企業版ふるさと納税の場合、寄附の内容や目的が明確であり、信憑性の高いCSR活動としてアピールしやすいと言えます。
面白そう
正直、企業版ふるさと納税はお得感が感じられず、そんなに活用するのかなぁと思っていたのですが、企業版ふるさと納税の募集の内容をみると、意外と面白そうです。
下図は、現在募集中の企業版ふるさと納税の一部です。
※ 『企業版ふるさとチョイス』より
私が気になったのは、鹿児島県奄美市。
事業概要は、以下の通りです。
ITを活用することで外海離島の不利性を克服しつつ、都会にはない離島の有利性(自然豊かな生活環境)を生かすこ
とのできるフリーランスによる新たな働き方を推進し、雇用の創出と所得の向上を目指し、人口減少に歯止めをかける。
・ 市提携のクラウドソーシング企業からの仕事獲得等のフリーランス育成支援
・ 光ブロードバンドの整備
「クラウドソーシングで低価格の仕事を請け負う人が増えてしまうのでは?」、「この自然環境を生かし、それをITを使ってアピールすることによって、自然の恵みからもたらされる仕事を増やしたほうがよいのでは?」と個人的には思いますが、まあ、それはいいとして、KPI(成果目標)も設定されています。
【登録フリーランス数】
H28年度:50人
H29年度:70人
H30年度:100人
【22歳~60歳の転入出者差数(転入者-転出者数)】
H28年度:100人
H29年度:110人
H30年度:120人
自分が寄付したお金で、KPIが達成されるかどうかをモニタリングしてみるというのも、一つの楽しみ方としてありでしょう。
企業版ふるさと納税のデメリット
個人のふるさと納税のようなお得さを求めるのであれば、自己負担が約4割の企業版ふるさと納税は、自己負担がある分だけデメリットと言えるでしょう。
また、企業版ふるさと納税の寄附先は、本店所在地以外でなければなりません。つまり、地元を応援したいからといって、地元が行っている企業版ふるさと納税の事業に寄附をしても、税額控除を受けることが出来ません。
返礼品は?
内閣府地方創生推進事務局が発表した資料*に『「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」へ寄附を行うことの代償として経済的な利益を受け取ることは禁止されています。』と書かれていることから、返礼品はありません。
返礼品が欲しい場合には、個人でふるさと納税を行いましょう。
まとめ
個人のふるさと納税の場合、自己負担2千円で返礼品をゲットでき、地方に寄附をして貢献するとともにお得感もバッチリ味わえちゃう制度なのですが、企業版ふるさと納税の場合には、通常の国や地方公共団体への寄附金よりは税額控除が寄附金額の3割ある分だけ有利である程度です。
つまり、企業版ふるさと納税は、心から応援したいという地方創生プロジェクトにお金を出してその目標達成を手助けする社会貢献、と考えて頂くとよいでしょう。
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【編集後記】
週末は、土曜日は勉強会への参加、日曜日は原稿の執筆と、働いて過ごしてしまいました。来週末の土日は完全オフにしなければと反省。
【週末の一日一新】
ビックカメラ有楽町店6階のお好み焼き屋
赤坂の中華料理屋
島忠ホームズ草加舎人店のモスバーガー
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