既存の会計事務所モデルといかに勝負するか?AIに負けない会計事務所を作るために

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bamenny / Pixabay

AIの進歩により仕事がなくなると言われている職業の一つに税理士が挙げられることが多いようです。弊事務所の今後の方向性としては、AIに負けない会計事務所を作ることを目指しています。AIの進化は止めることはできませんから、AIに負けないためには、AIを使いこなす会計事務所を目指すという方向が正しいと考えています。

既存の会計事務所モデルを模倣して成功できるのか?

既存の会計事務所モデルとは?

今後独立する税理士にとって、既存の会計事務所モデルを模倣するというのは、成長が難しいと考えています。

なお、私が意図している既存の会計事務所モデルとは、以下のような会計事務所です。

  • お客様から領収書を預り、記帳代行をメインとしている
  • 税理士は1名、若しくは数名で、その何倍もの無資格の職員を抱えていて、記帳代行などの単純業務を割り当てている
  • 無資格の職員の給与は総じて安い給料
  • 税理士資格の取得を目指している職員には、税理士試験直前まで多くの仕事を与え、試験勉強をする余裕を与えない(試験に合格した職員が独立したときにお客様を持って行かれないように、合格させずに職員として安い給料で長く働いてもらう)

既存の会計事務所モデルに降りかかるであろう困難

このような既存の会計事務所モデルにとっては、下記のことが逆風として降りかかってくるでしょう。

  • AIの進化による記帳代行業務の縮小
  • AIの進化による記帳代行業務の単価の引き下げ
  • 税理士試験の受験者数の減少に伴う人材の採用難
  • 世間のブラック企業への逆風(会計事務所はブラック企業が多い)

現状の会計ソフトですでにAIにより会計処理を提案するという機能がついていますが、会計知識なしでその提案を鵜呑みにしてしまうと、間違いだらけの帳簿になってしまうというのが現状です。AIによる会計処理の自動化を活用して正しい会計処理ができるようになるためには、正しい会計の知識を持つものが自動で正しい仕訳になるように自動化の設定していく必要があります。

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しかし、AIが進化していくにつれ、いずれは会計知識なしでも正しい会計処理ができるようになってしまうかもしれません。すると、記帳代行業務の縮小や単価の引き下げは不可避になるでしょう。

記帳代行業務の単価が下がった時、会計事務所としては、なるべく安い人材で採用したいということになります。しかし、少子高齢化や税理士試験の受験者の減少で、採用はますます難しくなり、安価で良質の人材を採用するというのは、困難になると想定されます。

ちなみに、税理士試験の受験者数は、平成23年では59,975人だったのが、平成29年では41,242人となり、この6年間で約31%も減少しています。少子化を遥かに上回るペースで減少しており、もはや危機的状況にあると言って過言ではないでしょう。

すでに既存の会計事務所モデルで成功している事務所の場合、多少の人材難や業務の縮小があったところで、職員のリストラなどで、所長の税理士にとっては致命傷にならずに済むことも多いのではないかと思いますが、ただ、リストラにあった職員にとっては大惨事です。

私のように、税理士としての開業年数が浅い場合には、既存の会計事務所のビジネスモデルを模倣しても、時代の流れで上手くはいかない可能性が高いのではないかと考えています。

AIに負けない会計事務所を作るために

AIを使いこなす会計事務所になる

現状の日本人のITリテラシーはどの程度かというと、あまり高くないというのが現状でしょう。ITを使いこなすということに抵抗があり、アナログにこだわりたいという方も少なくありません。そういった意味では、既存の会計事務所モデルで現状成功している事務所にとっては、AIの進化による痛手といっても、それほど大きくはないということも十分考えられます。

しかし、これからゼロから始めるといった会計事務所の場合、既存のビジネスモデルの会計事務所と同じモデルで勝負しても、すでに市場での優位性を獲得している会計事務所に勝つというのは困難です。

ですから、今後進化しているAIを使いこなすという方向性で、業務を進めていくのが一つの解だと考えています。

単純業務ではなくコンサルティングに強みを見出す

AIの進化していく過程では、まずは単純業務や人材が不足しがちなハードワークからAIにとって代わられていくでしょう。現状では、人手不足となっている流通業については、自動車の自動運転が進めば、必要なドライバーの数も大幅に減少することになります。危険な高層ビルの窓の清掃なども、AIの活用により、人からAIへ仕事が移っていくでしょう。会計事務所の業務の中でも、やはり単純業務である記帳代行は真っ先にAIによって仕事を奪われることになるでしょう。

すると、大事になってくるのがAIの活用をサポートするということがまず挙げられます。

そして、次に考えられるのがコンサルティング業務です。国税庁の方針として、今後は税務行政においてもAIを活用していこうということが掲げられています。

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国税庁が本格的にAIを活用すると、税務相談は税理士でなくすべて国税庁へ、と心配される税理士もいるかと思いますが、私はそうは思いません。

国税庁の役割は、税金を徴収することです。ですから、いかに節税をするかという視点での税務相談を行うことは考えづらいでしょう。

また、国税庁のホームページをご覧になった方はお分かりかと思いますが、専門用語が羅列されており、ある程度の専門知識がないと、それを読んで理解するのが困難です。知識不足で読むと、間違った方向性で解釈をしてしまうということも、少なくありません。では、一般の方が分かりやすいように平易な文章になるかというと、それは期待できないでしょう。なぜなら、平易な文章にすると、条文に書いていることを網羅して説明することは困難であるため、国税庁自身の保身のためには平易な文章で答えるというのは非常にリスキーです。

そういった観点から考えると、納税者に寄り添って、国税庁が発信する情報を翻訳して納税者に伝えるためには税理士が必要ですし、納税者の方の状況に精通していれば、厳密なことを伝えなくても、平易な言葉での説明で事足りたりもするのです。

また、将来行うべき取引のスキームといったところでは、国税庁は関与したくない部分ですから、税理士の提案というものが価値を発揮することになります。

そして、何を隠そう、そういったことが税理士の本来の業務であるのです(記帳代行はあくまでも付随業務にすぎないのです)。

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弊事務所の方向性

弊事務所の今後の方向性としては、先に述べた2つに注力することを目指しています。

  • AIを使いこなす
  • コンサルティング業務に注力する

ですから、以下のようなことはやらない予定です。

  • 税理士少し、無資格の職員がたくさん
  • 職員は生かさず殺さずで、安月給でたくさん働かせて、税理士試験は合格させない

人を採用するのであれば、ホワイト会計事務所として快適な環境を提供してあげたいと考えています。それが実現可能になるまでは、なるべくなら人を雇わずに、同業の税理士、他士業の方、業務委託先などと提携関係を築くことで、お客様にとって最適なサービスができるということを志向しています。

未来はどうなるかはわからないので、基本的には柔軟に軌道修正は図ると思いますが、現状では上記の2点を前面に押し出してお客様のお役に立てればと考えています。

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【編集後記】

本日のブログのネタは、本日一緒に飲んだお客様からの一言のおかげです。色々と勉強になる時間を過ごせました。ありがとうございます、Tさん!

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