税理士だからこそ節税にはニュートラルな立場でいたい

2020年4月5日


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Brett_Hondow / Pixabay

私が税理士試験を受けることを決めたのは大学生の頃でした。
税理士になれば、節税の方法がわかるようになると思っていました。
そして、税理士になった今、感じるのは、節税になるから必ずしもいいとは限らないということです。

節税の恩恵を受けてありがたいと思うこともあれば、節税と思って始めたことが将来的に失敗だった結果に終わることもあります。

節税をするために税理士ができること

節税をするために税理士が出来ることというのは、節税に関する知識を伝えることです。
ただ、実際に節税をするためには、以下のようなことが必要です。

  • 節税となる金融商品に投資をする
  • 保険に加入する
  • 確定拠出型年金、小規模企業共済に加入する
  • 社宅などの福利厚生制度を充実させる
  • ふるさと納税などの寄付をする
  • 企業買収を行う

お客様にとってその節税が必要な支出であれば、その支出の効果と税金への影響を税理士としてはきちんと伝えたいところです。
ただ、お客様にとって不要な支出を節税になるからといって勧めるのはいかがなものかと。

お客様にとって必要なものがたまたま節税に役立ったというくらいのスタンスでちょうどいいと思うのです。

節税するために必要なこと

多くの節税には、支出が伴います。
支出が伴うということは、少なくとも、短期的には資金繰りが悪化します。
ふるさと納税のように、実質2,000円の負担で返礼品がもらえるというものであっても、減税効果が表れるのは所得税の確定申告時や支出した翌年の住民税です。

会社の場合であれば、会社を大きくしたいのであれば、税金を払ってでも利益を出す必要があります。
会社の税引き前の利益が1,000万円あるとしましょう。
法人税等の税率を30%と仮定すると、税金は300万円かかりますので、手元に700万円残ることになります。

一方、税金を払わないために利益1,000万円分だけの経費を追加で使ったとすると、税金は発生しませんが、手元に残るお金もゼロ円です。

経費であればそれが売上に繋がるものということで経営者としても払いやすいでしょう。

それに対して、税金を払ったからといって、売上には繋がりません。ですから、税金を払うということは、痛みを伴うものです。

ただ、その痛みを伴う税金を払うことで、手元の資金を増やすことができるのです。

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節税に対するスタンス

私の場合、大手税理士法人に勤め、上場企業で経理部に所属して税務を担当していました。

これらの職場では、節税というよりも、税務リスクを顕在化させることというのが重要視されていました。

もちろん、必要な節税、できる節税はちゃんと行っているのですが、それよりも、国をまたいだ取引やM&Aなどの取引で租税回避をしているとみなされ追徴課税されることがないか、新しい取引を行う場合には潜在的な税務リスクがないかどうかということが大切でした。

しかし、独立してからは中小企業の経営者の方と接する機会が増え、必要な節税、できる節税が十分に行えていないこともあり、節税の基礎知識をきちんと伝えることが会社員時代よりも必要とされるようになりました。

大企業であれば当たり前にやっている節税を中小企業でもしっかりと行っていただければと思います。

しかし、過度な節税は不必要な支出を増やすだけになってしまいますので、前のめりな節税ではなく、中立的な立場でアドバイスできるのがちょうどいいと思っています。

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【編集後記】

先日、節税をテーマにプレゼンを行いました。
ただ、個人的には全く満足できないプレゼンとなってしまいました。
事前にプレゼンについてレッスンを受けて練習をし、おかげさまで「下手くそ」が「何とか見れられる」程度まで成長はしたのですが、人前でプレゼンするほどの出来ではなかったというのが正直な自分の想いです。

セミナーや講義は何度も行ったことがあるのですが、10分間のプレゼンというのは初めてでした。
そのせいか、すぐに緊張してしまい、頭が真っ白に…。

ただそんなことよりも何よりも自分がダメだなぁと思ったのは、プレゼンに魂がこもってないということでした。
「節税」を色々な人にお勧めしたいかというと、実はそうでもありません。
「節税」に興味がある人が多いかも?という浅はかな発想でそのテーマを選んでしまいました。
頭が真っ白になっても、自分が魂を込めて話せることをプレゼンのテーマに選んでおくべきだったのでしょう。

【今日の一日一新】

ネパール料理のお店でインドカレーのポークを注文

新しくなったeLTAX用にUiPathのプログラムを作成

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