社員の食事代を負担するときの税務上の留意点

2022年8月30日


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会社が社員に食事代を負担するとき、その食事代の内容によって、税務上の取扱いが異なります。福利厚生費とされる場合には支給対象となる社員では課税は生じませんが、給与とされる場合には支給対象となる社員に給与課税が生じてしまいます。

会社で福利厚生費として処理していて、税務調査で給与認定を受けた場合には、会社側では源泉所得税の徴収漏れ、従業員側では給与認定を受けて追徴課税と痛手を受けてしまうので気を付けなければなりません。

Romi / Pixabay

会社が負担する社員の食事代は給与課税が原則

就業時間が朝から夕方までという場合で、ランチタイムの食事代を常に会社が負担しているというようなときは、その食事代は給与として取り扱われます。休憩時間中の社員の食事代は個人で負担するというのが一般的ですので、これを会社が負担するような場合には、原則、給与扱いになるのです。

福利厚生費となる食事代

残業している社員に対する食事代

残業している社員へ支給する食事代は、通常の範囲内の金額であれば、給与課税しなくてよいものとされています。ただし、金銭での支給は課税対象となってしまうため、注意が必要です。会社側で外食やコンビニでの弁当代等の領収書を保管するなどして、現物支給であることを説明できるようにしておきましょう。

なお、朝型勤務の朝食代も福利厚生費として処理することが可能と思われます。朝型勤務とは言えども、就業時間外の業務ですので、その性質は残業と変わりありません。したがって、就業時間外である早朝に勤務している社員を対象に朝食を提供することは、夜に残業している社員へ食事を提供することと取扱いは同じと考えてよいでしょう。

福利厚生の一環として食事代の一部を補助

社員への福利厚生の一環として、昼食代の一部を補助するような場合には、下記のいずれの要件を満たすものであれば、福利厚生費とすることが可能です。

  1. 支給した食事代の50%以上を役員または使用人から実際に徴収していること
  2. 会社が負担している金額が月額3500円以下であること

食事の支給の方法としては、食堂での支給、仕出し弁当の購入などがありますが、おすすめはチケットレストランです。これなら、小規模な事業者でも容易に取り入れることが可能です。

月額7000円の食事券を会社が購入し、そのうち3500円を従業員から徴収するというように運用すればよいのです。

チケットレストランでは、会社が福利厚生費として処理できるよう、その利用は本人限定、食事のみ利用可能、アルコールは不可といった使用条件が設定されていますので、福利厚生制度として導入しやすいといえるでしょう。

なお、昼食代の一部補助としてクオカードを社員に配布するというのは、①使途が食事に限定されない、②使途について会社側で管理できない、③チケットショップなどで容易に換金可能などの理由で、税務調査で福利厚生費としての処理が否認され、給与課税されるリスクが高いのでお勧めできません。

 

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【編集後記】

天候のすぐれない日が続いており、うちの子供たちはプールに行けず、うずうずしています。夏休みが終わる前に、あと1回、プールに連れて行ってあげたいのですが…。

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