法人が保険料を支払った時・保険金を受け取った時の税務上の取扱い

2018年2月8日


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法人が利益が出ているときに節税商品として利用されることがある保険商品。その保険料を支払った時・保険金を受け取った時の税務上の取扱いの基本をまとめてみました。

geralt / Pixabay

養老保険の場合の税務上の取扱い

養老保険とは、貯蓄を目的とする保険のことをいいます。満期になると満期保険金が受け取ることができます。満期が到来する前に、被保険者(保険の目的となる人)が亡くなった場合には、満期保険金と同等の金額を死亡保険金として受け取ることができます。

法人が養老保険に加入する場合、保険金の受取人を誰にするかによって、税務上の取扱いが異なります(下表)。

保険金受取人 税務上の取扱い (法人)
死亡満期支払時受取時
(1)法人法人資産計上保険差益に
対して課税
(2)被保険者
の遺族
被保険者給与
(3)被保険者
の遺族
法人1/2資産計上
1/2損金算入
保険差益に
対して課税
(4)法人被保険者※ 逆ハーフタックスプラン

保険会社が取り扱っているのは、通常(1)と(3)です。

(1)は節税にはなりませんが、被保険者が死亡した時にはその事業保障として、保険が満期を迎えた時には退職金の原資としての活用が見込まれます。

(3)は役員・従業員の死亡時には保険金の受取人が役員・従業員の遺族となっており、福利厚生的な性格を持つ一方、満期時には保険金の受取人が法人となっており、貯蓄目的としての性格も併せ持っています。

(2)は個人で保険に加入するのと変わりありませんから、それを会社が肩代わりする必要性に乏しく、(4)は租税回避スキームとしての性格を持つことから、保険会社での取り扱いは少なくなっています。

(1) 保険金の受取人が死亡時、満期時ともに法人の場合

保険金の受取人が死亡時、満期時ともに法人の場合、支払った保険料は預貯金と同様に資産(保険積立金)として取り扱われます。この場合、保険料の支払いによる節税効果はありません

保険金の受取時には、保険差益(受取保険金-保険積立金)が法人税の課税対象となります。

(2) 保険金の受取人が死亡時には被保険者の遺族、満期時には被保険者の場合

これは保険金受取時の取扱いが、被保険者である役員や従業員が個人的に加入する保険と変わりありませんよね。法人にとっては何のメリットもありませんから、法人にとっては役員や従業員に給料を払っているのと同じです。したがって、給与として取り扱います。従業員に対する保険料は通常、法人の損金の額に算入されます。役員に対する保険料は、毎月一定額の保険料を支払っているというように、経常的なものであれば法人の損金の額に算入されます。

なお、給与とされた保険料は、役員や従業員の生命保険料控除の対象となります。

保険料を受け取った時の取扱いは、以下の通りです。

死亡時:死亡保険金は役員・従業員の遺族の相続税の課税対象

満期時:満期保険金は被保険者の一時所得 or 雑所得(一時金での受取りの場合、一時所得、年金での受取りの場合、雑所得)

(3) 保険金の受取人が死亡時には被保険者の遺族、満期時には法人の場合(ハーフタックスプラン)

保険料の1/2は、満期時に法人が受け取るものということで、保険積立金として資産計上することになります。残りの1/2については、被保険者である役員や従業員が死亡した場合にその遺族が死亡保険金を受け取ることになりますので、期間の経過に応じて福利厚生費として法人の損金の額に算入します。

ただし、被保険者が役員や特定の従業員だけの場合には、福利厚生費ではなく給与としての取扱い(上記(2)と同様の取扱い)になるので注意が必要です。

保険金の受取時の取扱いは、下記の通りです。

満期時:保険差益(満期保険金-保険積立金)が法人税の課税対象

死亡時:死亡保険金は役員・従業員の遺族の相続税の課税対象

(4) 保険金の受取人が死亡時には法人、満期時には被保険者の場合(逆ハーフタックスプラン)

満期時には被保険者が受取人となることから、通常、役員などの特定の者だけが加入する保険であり、『租税回避スキーム』としての要素が強い保険です。

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こちらについては、後日、記事を書こうと思います。

定期保険の場合の税務上の取扱い

定期保険とは、いわゆる「掛捨て」のタイプの保険です。法人が加入する定期保険の税務上の取扱いは、以下の通りとなります。

(1) 保険金の受取人が法人である場合

掛捨てですので、法人が支払った保険料は、期間の経過に応じて法人の損金の額に算入します。

被保険者が死亡した場合に法人が受け取る死亡保険金は、その全額が法人税の課税対象となります。

(2) 保険金の受取人が被保険者の遺族である場合

法人が支払った保険料は、期間の経過に応じて福利厚生費として法人の損金の額に算入します。

ただし、役員や特定の従業員のみを被保険者としている場合、その保険料の額はその役員や特定の従業員の給与になるので、注意が必要です。なお、給与となった場合には、その役員や特定の従業員の生命保険料控除の対象となります。

被保険者が死亡した場合に被保険者の遺族が受け取る死亡保険金は、相続税の課税対象となります。

定期付養老保険の場合の税務上の取扱い

定期付き養老保険とは、養老保険を主契約とし、特約として定期保険を付加したものをいいます。法人が定期付養老保険に加入した場合の取扱いは、以下の通りです。

(1) 保険料が生命保険証券などにおいて保険料を定期保険部分と養老保険部分とに区分されている場合

保険料が定期保険部分と養老保険部分に区分されているため、その区分した金額に応じて上記の「養老保険の場合の税務上の取扱い」、「定期保険の場合の税務上の取扱い」で述べた通りの取扱いとなります。

(2) 保険料が生命保険証券などにおいて保険料を定期保険部分と養老保険部分とに区分されていない場合

定期保険部分と養老保険部分とに区分されていない場合、支払った保険料はすべて養老保険の保険料とみなされ、上記の「養老保険の場合の税務上の取扱い」と同様の取扱いとなります。つまり、区分されていないとより不利な扱いを受けるのです。

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【編集後記】

昨日は小1の次女が発熱のため、家で安静にしていました。妻と長女が出掛けている間、一緒に留守番していたのですが、その間に『リトル・マーメイド』を2回連続で観賞。ここ最近は、出掛ける時の車で毎回のように『リトル・マーメイド』を観ているのに、よく飽きないなぁと感心しています。

【昨日の一日一新】

マナガツオの塩焼き

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