税理士は数字に強いと言われるけど本当にそうなのか?


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税理士というと数字に強いと思われがちです。

飲み会で割り勘をするとき、
「税理士でしょ、数字に強いでしょ」
と言われる時があります。

数字に強いって割り算くらい、みんな小学校で習っているのに…。

飲み会の時は、数字に強い人よりも、お酒に強くてまだ酔っぱらっていない人のほうがちゃんと割り勘できる気がします。

まず、最初にハッキリとお伝えします。

税理士で必要な計算は四則計算のみです。

税理士は税金に関する法律の専門家であって、計算の専門家ではありません(しかも文系だし)。

小学校で習う計算しか必要ではないので、数字に強いわけではありません。

高校数学で習う三角関数とか行列とか関数とかのほうが明らかに難しいですし。

税理士になるために必要な受験資格

税理士になるためには、税理士試験で合格する必要があります。

その税理士試験を受験するための受験は、主に以下のものがあります。

  • 大学、短大、または高等専門学校を卒業したもので法律学又は経済学を1科目以上履修した者
  • 大学3年以上で法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した者
  • 司法試験合格者
  • 公認会計士試験短答式試験合格者
  • 日商簿記1級合格者
  • 全経簿記検定上級合格者
  • その他会計事務所勤務、経理経験2年以上など

法律学、経済学って明らかに文系です(大学であれば数学受験しなくたって入れるわけです)。

日商簿記1級だって、別に計算力は問われません。

だって、計算は電卓で行いますから。

会社の経理だって、暗算で経理する人なんかいません。
一昔前だって、電卓やそろばんで計算していたのでしょうし(ちなみに、私はそろばんで経理しているのを見たことがありません)。

税金の計算に計算力は必要か?

計算力はいらない

結論から言いますが、税金の計算に計算力は不要です。

税金の計算は、基本、すべて会計ソフトや税務ソフトを活用して行います。

必要な計算は四則計算だけとは言えども、人間が手計算するとケアレスミスしてしまいます。

ですから、計算力に自信があるからといって、ソフトで計算すべきところを入力が面倒くさいからって手計算していると間違えます。

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税理士法人や経理で働いているとき、こういったミスは山ほど見てきました。

いかに簡単な四則計算といえども、ヒューマンエラーを防止するために極力ソフトへ入力して計算するべきです。

人は間違えます。まあ、入力ミスっていうヒューマンエラーもよくありますが、それでも計算ミスに比べると少ないですし、ミスした時に気付きやすいです。

税金の法律(税金計算のルール)を知ることが大事

では、何が大事かというと、入力の前の大前提となる法律(ルール)に関する知識です。

例えば、会社が支払った飲食費であれば、その飲食費は税金の計算上、どのように区分し、その区分の違いにより税金にどのような影響があるかをお客様へ伝えないといけません。

例)X社の社長であるAさんがBさんと飲食をし、〇〇円払った。

この例の飲食代○○円はどのように取り扱われるのでしょうか。

主に考えられるのは、次の3つの取扱いです。

  • 交際費
  • 会議費
  • 役員給与

この3つの区分けがどのように税金に影響を及ぼすかというと、次の通りです。

交際費

中小企業であれば年800万円までは経費。超えた分は経費にならない。

大企業であれば飲食した相手が社外の人であれば飲食代の50%は経費。社内の人であれば経費にならない。

会議費

経費になる。

役員給与

定期同額給与(毎月同程度の支給額となる役員報酬のこと)ではないため、経費にならない。

給与扱いのため、役員本人に課税(会社は源泉徴収が必要)

では、この3つの区分分けはどのように決めるのかというと、相手先や金額が大事になります。

Bさんが取引先、株主、自社の従業員など事業に関係のある人とのものであれば、交際費か会議費のいずれかになります。

事業に関係ない人との飲食であれば、それはAさんの個人的な支出ですから、それを会社が負担したとするとそれはAさんに対する給与(役員給与)になります。

交際費になるか、会議費になるかという区分けは、その目的や金額などで判断することとなります。

会議中に出される仕出し弁当や、ホテルの会議室で会食をしながら商談をすすめるといったことであれば、会議費といえるでしょう。

取引先との取引関係の円滑化のため懇親を深めるということであれば、交際費といえるでしょう。

ただ、交際費に該当するような目的であっても、一人当たり5000円以下の支出であり、飲食を共にした相手の氏名、人数などを記した一定の書類を保存している場合には会議費になります。

税理士に必要なことというのは、このように、同じ飲食費であってもどのように区分をし、そしてそれがどのような影響を及ぼすのかということを理解し、判断し、説明できることなのです。

そして、税理士にはその判断の元となる法人税法、所得税法、消費税法、相続税法などの税法を解釈する力が求められているのです。

その判断は決して容易ではありません。

正直、判断に迷うもの、判断が難しいものも多く存在します。

だからこそ、法律の解釈をめぐって税務調査で調査官と意見対立することがありますし、税務署の処分に納得できず国税不服審判所や裁判所で争うことだってあるのです。

税理士の場合、裁判で争うのが本職ではありませんので、税務調査で問題が発生することがないようアドバイスを行うのが大事だといえるでしょう。

判断に迷うもの、判断が難しいものについては、なぜ判断に迷うものなのか、その判断によってどのような影響があるのか、判断材料となるものをしっかりと提供する必要があります。

税理士はやっぱり数字に強いほうがいい!?

税理士は数字に強いかどうかってことが必要でなくて、税法の専門家で、税法という特殊な領域の法律の専門家だということを強く訴えたいところなのですが、ただ、やはり数字に強いという側面も必要だと思います。

ただ、それは数字の計算ではありません。

数字を記憶するのが得意であるとよいと思うのです。

経営者の方と話をすると、優秀な経営者の方は自社の数字のことをよく覚えています。

売上、粗利益、粗利益率、最終利益といった会社の業績をスラスラと話す経営者と話しているとき、その数字が頭に入っていればスムーズに会話することができます。

また、税務上、様々なところで金額要件というものがあるため、税務アドバイスをする立場として資本金がいくらか?、前々期の売上はいくらか?などの会社の情報を頭に入れておかないと正しいアドバイスができません。

つまりは、飲み会の割り勘の計算が得意!という数字の強さではなく、クライアントの経営指標となる金額を記憶するという数字の強さが税理士にとっては大事だと思うのです。

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【編集後記】

事務所に固定電話がありますが、私は外出していて不在にしていることも多く、電話に出れないことがよくあります。しかし、現状では電話番をしてくれる従業員もいないし、電話秘書サービスも利用していません。

従業員や電話秘書サービスを利用すれば、電話がかかってきたことを伝言してくれます。とはいえ、伝言をもらっても折り返せないことが多いし、折り返しても今度は相手が不在だったりして行き違いになってしまうこともよくあります。なので、不在時に電話がかかってきたときに電話秘書サービスで伝言を預かってもらっても大した価値がないなぁと思うわけです。

個人的に一番ありがたいのはチャット機能などでメッセージを頂くこと。メールでもよいのですがチャット機能のほうが返信しやすいのでちょっとした隙間時間に返信できます。

最近、ビジネス用にLINE WORKSを導入しましたので、仕事の連絡用に活用していく予定です!

【一日一新】

貸倒引当金繰入限度超過額計算用のテンプレートの作成

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※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

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