外資系の日本法人の税務で気を付けるべきこと

Pocket

■スポンサードリンク

外国からの出資による日本法人の税務は、日本法人だからといって侮ることはできません。人のいない空っぽのSPCで、取引も少ないから、簡単なのでは?と外国人の方が高を括っていることがあります。しかし、侮ってはいけません。人の規模、取引数の規模が少ない日本法人だからと油断せずに税務に取り組む必要があります。

法人税で気を付けるべきこと

株主からの借入れに注意(過少資本税制&過大支払利子税制)

外国から資金を調達して日本に子会社を作る場合、その資金の調達方法は主に次の2つです。

  • 外国親会社が日本子会社へ出資
  • 外国親会社が日本子会社へ貸付

外国親会社にとってみれば、出資よりも貸付のほうが回収しやすく、また、税務メリットもあるので、一般的には貸付の方の割合を高めたいと考えます。

税務メリットですが、日本は諸外国に比べて法人税率が高めです。ですから、外国から日本へ貸付をした場合、その利子の受け払いで税務メリットが生じます。例えば、外国親会社が日本法人へ貸付けをしており、その利子が100万円だったとしましょう。
大企業の場合、日本の法人税率は約30%ですので、日本子会社では100万円の支払利子を経費にすることで30万円の税金軽減効果があります。外国親会社の法人税率が20%だった場合、受取利息に対して20万円の税金が発生します。するとどうでしょう。グループ全体で見た場合、税金の負担は、外国20万円ー日本での税金軽減効果30万円=10万円のプラスとなるのです。

そこで、外国親会社が日本子会社へ貸付をする場合には、その支払利子の損金算入による税務メリットを制限する次の2つの規定が設けられています。

  • 過少資本税制
    外国親会社からの借り入れが出資の3倍を超える場合、その超える部分に対応する支払利子の損金算入による税務メリットが制限される制度
  • 過大支払利子税制
    外国法人のグループ会社からの借り入れが多い場合、支払利子の損金算入の一部が制限される制度

どちらも該当しないように気を付けてストラクチャーを決定するのですが、ストラクチャーの検討過程で税理士が関与していない場合には、この論点が全くケアされていないこともあり、注意が必要です。税理士でもめったにお目にかかることはない税制(通常はこれに該当しないように気を付けてストラクチャリングを行っている)のため、国際税務専門と謳っている会計事務所が見落としていることもあります。

外国親会社への支払

外国親会社は、本社費用として雑多な費用を請求してくることがよくあります。このとき、気を付けなければならないのは、その本社経費に対価性があるかどうかということです。外国親会社と日本子会社との契約書を確認して、その請求内容が請求に値するものなのかどうか気をつけなければなりません。

対価性のない、または、その主張がちゃんとできない場合には、税務調査で経費として認められない可能性がありますので注意しましょう。

親会社の資本金をチェックする

日本では、中小企業の税務上の恩恵を受けるための基準は、主に資本金です。資本金が1億円以下であれば、中小企業として様々な税務上の優遇措置が設けられています。しかし、資本金が5億円以上の親会社に直接、または、間接的に100%保有されているなどの場合には、中小企業ではないものとして中小企業としての税務上の優遇措置を受けることはできません。

これは、親会社が外国法人である場合も同様です。100%親会社の資本金を期末レートで換算し、その換算後の資本金が5億円以上かどうか、チェックしましょう。

取引価格は第三者と同水準にする

日本子会社と外国親会社との間で取引がある場合、その取引は独立した第三者と同じ取引価格でないといけません。税率の高い日本での利益率を通常よりも低く抑えた売価でグループ内の外国法人と取引をするといった場合には、取引価格を第三者取引に引き直して追徴課税されるというリスクがあります。

所得税の源泉徴収で気を付けるべきこと

外国法人への支払がある場合、その支払の内容によっては、日本で源泉徴収をする義務があります。

租税条約を確認する

まず行いたいのが、租税条約の確認です。日本と外国を跨ぐクロスボーダーの取引に関しては、国ごとの税法の違いを調整するため、一部の国や地域を除き、租税条約が締結されています。日本の所得税の取扱いだけでなく、租税条約を必ず確認する必要があります。

日本の所得税法と租税条約で取扱いが違う場合には、租税条約の規定が優先されます。そして、その租税条約の恩恵を受けるためには、支払を受ける外国法人が支払う日本法人を経由して租税条約届出書を税務署へ提出する必要があります。

親会社への配当、利子および使用料(ロイヤリティ)の支払

租税条約の適用があれば、通常、源泉徴収する必要があるのは、外国法人への配当、利子および使用料の3つに絞られます。

特に、親会社への配当や利子の支払いは、生じる可能性が高いので、租税条約届出書を提出して軽減税率や免税の恩恵を受けるようにしましょう。

使用料(ロイヤリティ)については、租税条約によってその範囲が異なるので、租税条約の注意深い読み込みが必要です。

消費税で気を付けるべきこと

課税事業者を選択を検討しよう

外資系の日本法人の場合、日本では営業活動のみというような場合など、外国法人に対する売上が中心で、日本での売り上げがほどんどないことがあります。
そういった場合、消費税の免税事業者に該当し、消費税を納める義務はありません。

しかし、自ら消費税の課税事業者を選択するも可能です。課税事業者を選択することにより、支払った消費税の還付を受けることが可能になります。

還付なら課税期間の短縮で資金繰りをよくしよう

消費税の確定申告書というと、法人税と同じように、事業年度ごとで年1回というイメージが強いのですが、年に4回または年に12回申告することも可能です。

消費税の課税期間は、その届出書を提出することにより、3か月ごと、または、1か月ごとに短縮することが可能です。消費税の還付を受ける場合には、課税期間を短縮することにより、消費税の還付を早期に受けることができ、資金繰りをよくすることが可能です。

基本が大事

他にも留意すべきところはあるのですが、実は、外資系日本法人の場合、それ以前の基本がなっていない、ということもよくあります。日本の税制について全く知らずに日本へ投資し、しかも、すぐには税務アドバイザーを付けていないということがあります。

こういった場合、「青色申告承認申請書を出していない」とか、そもそも、法人設立届出書すら出していない、ということもあります。

記帳は外国でIFRSで行っているということもありますので、経理は会社でやっているということであっても、日本基準へ修正する必要がある場合があります。

■スポンサードリンク

日本法人だからとか、従業員がほとんどいないとか、取引数が少ないとかで油断していると、いつの間にか税務上のリスクを負ってしまっているということになりかねませんので注意しましょう。

||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

【編集後記】

昨日は、午前中はお客様と打ち合わせをし、午後は、相続税などのペーパーワーク。夜はお客様と焼肉を堪能しました。

【昨日の一日一新】

神谷町の駅近くのカレー屋でランチ

Pocket

------※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。---------

■ スポンサードリンク




スポンサーリンク

シェアする

フォローする

スポンサーリンク