外国法人へ報酬を支払う場合の源泉徴収の要否

2018年2月22日


■スポンサードリンク

日本に支店などがある外国法人に対して報酬を支払う際、その報酬の内容によっては源泉徴収が必要な場合がありますので注意が必要です。

Buecherwurm_65 / Pixabay

源泉徴収漏れが生じたときにペナルティーがあるのは源泉徴収義務者

弁護士、税理士、司法書士へ業務を依頼した時、その請求書には源泉徴収する金額が記載されているのが一般的です。

そのため、報酬を支払う事業者は、その請求書を信頼して源泉徴収をしているということが多いでしょう。

では、本当は源泉徴収をしなければいけないときに、請求書に源泉徴収する金額の記載がなく、請求されるがままに報酬を支払って源泉徴収をしなかったとき、ペナルティーは誰が受けるのでしょうか。

ペナルティーを受けるのは、源泉徴収をしなかった事業者なのです。

源泉徴収の仕組みは、報酬を支払う事業者に源泉徴収をしてそれを国に治める義務を負わせるというものです。したがって、請求書に源泉徴収税額が記載されていなかったからといって源泉徴収しなかった場合に責任を負うのは、報酬の支払者なのです。源泉徴収漏れが生じたときには、その報酬の支払者は不納付加算税(税金を納付しなかったときに課される罰金)を支払わなければならないのです。

外国法人へコンサルティングフィーを支払う場合の留意点

給与や弁護士、税理士、司法書士へ支払う報酬については、源泉徴収をしなければいけないと認識している事業者が多いと思います。しかし、注意しなければならないのは、外国法人にコンサルティングフィーを支払う場合。特に、日本に支店を設置したばかりの外国法人は要注意です。

外国法人へ支払うコンサルティングフィーは源泉徴収が必要

所得税法では、非居住者(簡単に言うと、日本に住所や住んでいる場所がない者)や外国法人に対して「国内で行う人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価(例えば、映画俳優、音楽家等の芸能人、職業運動家、弁護士、公認会計士等の自由職業者又は科学技術、経営管理等の専門的知識や技能を持つ人の役務を提供したことによる対価がこれに当たります。)」を支払う場合、その報酬の支払者が源泉徴収をしなければいけません。

つまり、外国法人の日本支店に専門的な知識が必要なコンサルティングを受けて報酬を支払った場合は、その支払者が源泉徴収をしなければいけません。

源泉徴収の免除証明書の提示がある場合には源泉徴収は不要

ただ、日本で活動している外国法人の日本支店に対して毎回源泉徴収をしなければいけないとなると、手間もかかってしまい面倒だと思います。しかも、日本で支店をおいて活動しているわけですから、ちゃんと日本でも税金を納めていて、税金を逃れるという心配も少ないでしょう。そこで、そういった外国法人に対しては、その外国法人の申請に基づき、国は「源泉徴収の免除証明書」を発行して交付します。その証明書の提示があった場合には、報酬の支払者は源泉徴収する義務が免除されます

この「源泉徴収の免除証明書」ですが、日本へ進出したばかりの外国法人がもともと知っているなんて言うことは少ないと思います。そして知らないまま取引を行い、報酬の支払者も源泉徴収が必要であることに気づいていないと、報酬の支払者側で源泉徴収義務違反が生じてしまうのです。

お客様が請求書通りに支払って源泉徴収義務違反となってしまったというのは、外国法人にとってもお客様の信頼を損なう可能性があるため、外資系企業の経理担当者はそのような事態が起きないように気を付けましょう。

まとめ

とはいいつつも、外国法人の税務周りを経理担当者ですべて把握して対応するのは難しいと思います。やはり、国際税務に強い税理士のバックアップが必須といえるでしょう。

|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

【編集後記】

サッカー日本代表が2 vs 0でタイに勝利!!この調子で頑張ってもらいたいものです。

【一日一新】

神田から馬喰町まで徒歩で移動

------------------------------

※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

------------------------------


■ スポンサードリンク