税理士会が行う個人の確定申告支援~青色申告会に行ってきました~

2017年2月22日


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本日は、東京税理士会神田支部の確定申告支援の一環で、神田青色申告会に行ってきました。正直なところ、青色申告会というものはどういうところなのかよく知らない私ですが、足を運んだことで何となくの雰囲気をつかむことが出来ました。

税理士会が行っている個人の確定申告支援

税理士法人時代は、税理士会に顔を出すこともほとんどなく、確定申告支援といったものに無縁だったのですが、開業税理士登録をして以来、年に一度は税理士会が行っている個人の確定申告支援に参加しています。これまで私が参加した活動は、小規模納税者のための確定申告無料相談、確定申告電話相談で、本日はじめて青色申告会の活動に参加しました。

小規模納税者のための確定申告無料相談

税務署からの依頼で、税理士会が小規模納税者を対象に確定申告無料相談を行っています。主に年金を受給されている高齢者が会場に来られます。公的年金等(国民年金、厚生年金、厚生年金基金などの年金)を受給されている場合、公的年金等による収入金額が400万円以下であり、かつ、公的年金等以外の所得が20万円以下である場合には、所得税の確定申告義務はありません。しかし、確定申告することにより還付を受けることが出来ます。医療費控除や生命保険料控除などを活用して、より多くの還付金を受けようということで、足を運ぶようです。

この相談会を行っていると、医療費控除は医療費の額が10万円を超えてなくても受けられることを知っている方が来ていますし、手引きを見ながら確定申告書の下書きをしてきている方もたくさんいらっしゃいます。

「もう年で全然わからなくて~、教えてくれるかしら?」と言いながらくるおばあちゃん。

でも、最近確定申告の電話相談を担当して気付きました。そもそも、ちゃんと還付を受けられるということを分かっていて会場に来ているということ自体、よくわかっていらっしゃるのだなぁ~と。

確定申告電話相談

確定申告のシーズンは、税務署への問い合わせの電話が激増します。そこで、税理士会では個人の確定申告の相談電話のサポートとして、電話相談センターで電話相談対応をしています。

その電話相談をしていると、「医療費控除は10万円を超えないと受けられないのでしょ?」と勘違いしている方の多さにびっくりします。やはり、確定申告無料相談に足を運ぶ方は、よく知っている方だったのだなぁと思った次第です。

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相談内容で意外と多かったのが、インターネットを利用しているにもかかわらず、「確定申告等作成コーナー」を知らなかったり、「確定申告等作成コーナー」で必要な添付書類の印刷が出来るということです。

「国税庁のホームページから申告書を印刷して書いているのですが…」という方が意外と多いようです。「確定申告等作成コーナー」では、表示される指示通りに文字や数字を埋めていくと自動計算で確定申告書が作れてしまうという優れものです。そして、最後に印刷した用紙に提出資料の一覧が記載されていますから、それ通りに資料を添付すれば資料の添付漏れも防ぐことが出来ます。

税理士が行っている確定申告電話相談は、税務署に電話をして、その選択によって税理士の方へ転送されてくるため、税務署の職員と話していると勘違いされている方も多いようです。勘違いすることのないよう「税理士の〇〇です」と名乗ることになっているのですが、あまり聞いてもらえてないようで…。

お昼は職員専用の食堂を利用することも可能ですので、記念に食堂で食べてみました。お盆をもって注文したメニューごとに並ぶのですが、どこに並ぶのかよくわからずに戸惑っていると、職員の方が声をかけてくれて優しく教えてくれました。

青色申告会での相談員

本日、初めて行ったのが青色申告会での支援です。青色申告会の役割は、青色申告のための記帳指導や申告の仕方の指導です。税務相談はできないことになっています。また、電子申告をする場合、青色申告会では電子申告はできません。そこで、税理士が電子証明書を持っていき、代理送信をします。

おそらくこの代理送信という業務が青色申告会に税理士がヘルプにいく一番の理由なのでしょう。相談者の方はあまりおらず(これは場所柄なのでしょう)、代理送信以外はほぼ役になっていなかったような気がします。

個人の確定申告は自分でやるべきかどうか?

以上のように、個人の確定申告は、小規模納税者であれば無料相談会や電話相談を使いこなして、自分で行うことが可能です。また、個人事業主も月2,000円程度の会費で青色申告会で記帳指導を受けることが可能です。個人の確定申告の場合、税理士へ依頼する割合は約2割と低く(法人の場合は約9割)、収入が年金や給与だけであればそれほど難しくはありません。また、小規模事業者であれば、青色申告の記帳も青色申告会での記帳指導で十分こと足りるのでしょう。

無料の相談でできること・できないこと

無料の相談でできることは、一般的な取り扱いを教えてもらうことです。個別具体的なことは、無料の相談では対応できません。税理士による確定申告無料相談会や電話相談は無料の範囲内で行っていることですから、一般的な取り扱いを納税者へお伝えし、個別具体的なことは納税者に判断していただくことになっています。

「何と冷たい…」と思う方もいらっしゃると思いますが、日本では申告納税制度を採用しています。お役人が税金を決めるのではなく、納税者が自分で税金を計算するという制度になっている以上、仕方ないことなのです。また、個人事業主に関していえば、どのようなお仕事なのかによって、経費にできる支出・できない支出と判断がわかれる場合もありますので、電話でそうやすやすと「それは経費にできます」、「それは経費にできません」とは言えないのです。個別事情をきちんと知った上で判断すべきことがあるのです。

無料ではできないことは、申告書の作成です。申告書を作成するには、それなりに時間がかかります。税理士に依頼した場合には、かかった時間の対価、そして、納税者にとって最適な選択をするというメリットがある以上、それなりの対価が必要になります。
特に、資産があればあるほど、選べる選択肢が広がってきますし、税金を払いすぎてしまった時の損害や、逆に税金を少なく納めてしまった時の税務調査で指摘されるリスクが高くなってしまいます。資産が増えた時には、相談できる税理士がいたほうがよいでしょう。

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【編集後記】

昨日は夕方まで税理士会の確定申告支援活動に従事し、夜は12月決算の確定申告書レビュー。合間を縫って、相続税の相談など、詰め詰めのスケジュールでした。

【昨日の一日一新】

神田税務署の目の前のお店でグリーンカレー

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※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

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