友人の税務調査の時の武勇伝の話は信じても大丈夫?

2017年11月16日


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wpaczocha / Pixabay

税理士として独立してから、たまに耳にするのが税務調査の時の武勇伝です。税務署からごちゃごしゃ言われたけど、うまく乗り切ったぜ!という自慢話は、妄信せずに半信半疑で受け取っておきましょう。

税務調査は調査官によって差がある

税務署の調査はCoCo壱番屋のカレーではない

カレーハウスCoCo壱番屋のカレーは、全国共通の味です。何度食べても飽きのこない味で、全国どこに行っても同じ味が味わえるよう、ハウス食品のカレーを使っています。

2015年12月、ハウス食品はカレーハウスCoCo壱番屋を運営する株式会社壱番屋をTOBにより子会社化しましたが、それ以前から、壱番屋はハウス食品の関連会社であり、ハウス食品のカレーを使っていました。

そのカレーの味の安定感で、カレーハウスCoCo壱番屋は、業界2位のゴーゴーカレーの約70店舗を大幅に上回る1,257店舗(2017年6月時点)を構え、圧倒的な業界第一位のカレー屋です。

カレーは材料を同じにすることで、全国の店舗の味を同じにすることはできますが、税務調査官はそうはいきません。

若手もいればベテランもいます。

優秀で不正を次々に見つける調査官もいれば、そうでない調査官もいます。

出世競争の先頭を走っているやる気に溢れた調査官もいれば、出世競争に敗れてモチベーションの低下した調査官もいます。

税務調査は、税法に基づいて行われるのですが、ただ、調査をするのはあくまでも現場の人間です。マニュアルがあったり、先輩からの仕事の伝承などがあっても、やっぱり、人がやることですから、税務調査は担当の調査官によって、多少なりとも差が出るのです。

税務調査は交渉ごとでもある

税務調査の武勇伝でよくあるのが、経費になるかならないかで税務調査官と交渉して、経費を勝ち取ったということ。

この経費になるかならないかというのは、事業に関連しているものかどうかということです。

これは単純にレシートだけでは判断できません。同じ飲食代でも、だれと食べたり飲んだりしたかで、事業と関係あるかは分かれます。

家族や友人との飲食代であれば、当然、事業に関連しませんから、経費にはなりません。

得意先などの仕事に関係がある人との飲食代であれば、事業に関連しますから、経費になります。

ヘアーカット代であれば、一般的には、経費にはなりませんが、芸能人やモデルなどが撮影のために行ったものであれば、経費になります。

同じ飲食代やヘアーカット代であっても、誰と一緒なのか、職業は何なのか、その目的は、といったように、状況によって経費になったり、ならなかったりするのです。

税務調査の状況によっても、論点になる、ならないというのは差が出てきます。

規模の大きい会社であれば、金額の小さいところに時間をかけるのは費用対効果が悪いですから、小さいミスを指摘されることはほぼありません。それに対して、個人相手の税務調査であれば、スーツ代が経費になるかどうかとか、飲食代にプライベートなものが入っているだとか、ヘアカット代は経費にならないのではないかとか、こまごまとしたことが税務調査での論点になります。

税務調査官も人ですから、納税者の対応が悪いと、杓子定規に厳格に調査が行われ、納税者の対応がいいと、大目に見てもらうということもなくはありません。

上手に説明すれば、経費かどうか微妙なところも経費として納得してもらえますし、説明が下手だと事業に関連するものまでプライベートな支出と疑われてしまいます。

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税務調査の武勇伝は信じたくなるけど、半分くらいは疑っておこう

人間というものは、都合のいい話を信じたくなるものです。

税務調査とは誰しも嫌なものです。ですから、「息子にあげた車を会社の経費にして税務調査でも否認されなかったぜ!」とか「プライベートな支出をたくさん経費で落としていたけど問題なかったぜ!」とかの武勇伝は、信じたくなるというのはわからなくもありません。

ただ、その話、本当なのでしょうか。税務調査で否認された事例を数多く見ている身としては、正直、そんなの信じていいの?と思ってしまいます。

もちろん、税務調査官もいくらプロとはいえ、すべての不正を確実に見つけられているかというと、そうとは限らないというのが現実です。

ただ、税務調査官はプロですから、100%ではないものの、普通の人では「まさか、そこまで?」というくらい、不正を発見することができます

そのプロの目を運よく潜り抜けたものを信じて、不正をして、税務調査がくるかどうかビクビクして、税務調査が来たら、ばれやしないかってビクビクしてってどうなのでしょう。

まとめ

他人の税務調査の話は、ほどほどに聞くようにしましょう。自分に税務調査が来た時には、調査官も別人ですし(ごく稀に同じ担当者がきた、というのもゼロではありませんが)、調査を受ける立場の人間の職業や置かれた立場、経費にしている内容、売上なども違うのです。

参考にする分には構いませんが、その話を信じて同じようにやれば間違いないと妄信すると危険ですので注意してください。

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【編集後記】

本日は、司法書士の先生とランチ。その先生の得意とする分野や、そもそもの司法書士の業務領域などの情報交換ができて非常に有意義な時間を過ごすことができました。

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※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

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