国税庁が「税務行政の将来像」を公表!~国税当局もAIの有効活用を目指しているようです~

2017年6月29日


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2017-06-27

2017年6月23日、国税庁ホームページで、「税務行政の将来像~スマート化を目指して」が公表されました。中長期(概ね10年後)で税務行政が目指していく方向性が示しており、なかなか興味深い内容でしたので、その一部をご紹介します。

納税者の利便性の向上~国税当局による税務相談が自動化される?~

カスタマイズ型の情報配信

マイナンバー制度の導入に伴い、マイナポータルの本格運用が予定されています。このマイナポータルやe-Taxのメールボックスを活用して、納税者個々のニーズに合った税情報をタイムリーに配信していくとのことです。

不動産売却や災害発生時の減免制度のお知らせなどを必要と思われる方に配信することが考えられます。

これは、マイナンバー制度がどの程度普及するかにかかっているでしょう。現状、マイナンバー制度で「便利になった!」、「助かる!」といった声よりも、「面倒くさい」、「情報漏洩が心配」、「管理に気を遣うことになり、帰って大変」という声のほうがよく聞きます。

そもそも、普段の生活の中で「マイナポータル」や「e-Taxのメールボックス」をチェックするようになるのかといったところが、微妙ですよね。

税務相談の自動化

現状では、国税当局への相談方法として電話相談をすることが可能です。将来的には、これに加えて、メールやチャットなどの多様なチャンネルによって相談をし、回答を受けることができるようになるとのことです。

メールやチャットでの回答となると、文字情報として記録に残ってしまうので、国税当局としてはどう対応するのか、注目したいところです。

また、AIを活用した相談内容の分析と最適な回答の自動表示がされるようになることも目指しているとのことです。

このような税務相談の自動化は、ひょっとすると、税理士にとっては脅威になるかもしれません。このような国税当局の税務相談に負けないような工夫が必要になることでしょう。

専門用語をできるだけ使わずに易しい言葉でお客様に説明することや、将来取るべき行動へのコンサルティングといったところで活路を見出すといったことが税理士に求められるようになるのではないでしょうか。

申告・納付のデジタル化の推進

申告・納付のデジタル化の推進としては、以下のものが挙げられています。

  • 確定申告や年末調整に係る情報のマイナポータルへの表示による手続きの電子化
  • 行政機関間のバックオフィス連携による手続きの簡素化(添付書類の削減)
  • 国と地方への電子的提出のワンストップ化
  • 電子納税の推進

電子申告が進む中、変わっていないのが年末調整です。扶養控除等申告書や保険料控除申告書を手書きで書いて、会社へ渡すという手続きが電子化されることが検討されています。保険料、医療費やふるさと納税の情報をマイナポータルで収集して、それを活用して年末調整の手続きを電子的に行うということが想定されています。

また、簡単な内容の申告などの場合、スマートフォンやタブレットから行うようにすることも検討しているとのことです。

課税・徴収の効率化・高度化

申告内容の自動チェック

申告内容の自動チェックとしては、以下のものが挙げられています。

  • 申告内容と財産所有情報等との自動チェックによる申告漏れ等の迅速な把握
  • 不動産取引事例などの各種情報の自動収集による路線価・株価等の自動評定と申告財産の評価額との自動チェック

マイナンバーや法人番号を用いて、国税当局が保有する資料情報データとシステム上でチェックすることが想定されています。

また、AIを活用して、路線価・倍率・株価等を自動的に評定することにより、相続税、贈与税の財産に係る評定事務を効率化することが望ましいと考えているとのことです。

軽微な誤りのオフサイト処理

システムを活用した申告内容の審理の結果、是正が必要な軽微な誤り事項については、納税者に電磁的な方法(マイナポータルやe-Taxのメールボックスを想定?)により、自動で連絡することを目指していくとのことです。

これに応答しない場合、AIを活用してコールリストを作成し、コールセンターからオペレーターが電話により是正依頼を行うということを考えているとのことです。

つまり、軽微なものについては、オフサイト、つまり、現場には出向かずに、メッセージの送信や電話を活用して行っていく方針ということです。

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調査・徴収でのAIの活用

調査の必要性が高い大口・悪質な不正計算が想定される事案を的確に選定する観点から、AIを活用して調査が必要な納税者や調査項目が的確に抽出できるようにすることを考えているとのことです。

更正決定通知書などの作成についても、AIを活用しての書類作成やe-Taxのメッセージボックスによる通知が検討されています。

まとめ

税務行政のスマート化は、少なからず、税理士業務に影響を与える可能性があります。税務手続きが簡素化・効率化されることで、税理士業務そのものが縮小に向かう可能性もあります。それでもなおかつ、必要とされるサービスが提供できることが、これからの税理士に求められることなのでしょう。

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【編集後記】

ようやく3月決算の確定申告がひと段落。あとは、送信のみです。明日からは確定申告以外の溜まった仕事を片付けなければ。。。

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※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

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