同じ相手先から複数の請求書を受領。合計金額が100万円を超えた時の所得税の源泉徴収の税率はどうする?

2020年4月5日


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所得税の源泉徴収義務のある法人や個人事業主が個人へ原稿料や講演料を支払う場合、源泉徴収が必要です。

源泉徴収する金額は、100万円以下の場合、報酬の10.21%です。

100万円を超える場合には、超えた部分については20.42%の源泉徴収が必要です。

(司法書士への報酬のように、報酬金額から一定額を差し引いた金額に10.21%を乗じた金額を源泉徴収する場合もあります。)

それでは、同じ相手先から2枚以上の請求書が届いており、どの請求書も100万円以下だけど合算すると100万円を超えてしまう場合、源泉徴収の税率はどうすればよいのでしょうか。

複数の請求書の報酬合計額が100万円を超えた時の源泉徴収

同じ相手先から2枚以上の請求書が届いた場合、支払期限が同一の月のものであれば、合算額を同時に振り込んで振り込みの手間と振込手数料を軽減したくなるものです。

では、同じ日に2枚以上の請求書の振り込みをして、その報酬の合算額が100万円を超えた場合、源泉徴収はどうすればよいのでしょうか。

考えられる方法としては、以下の2通りです。

  • 1回に支払う金額が100万円を超えているので、100万円以下の部分については10.21%、100万円を超える部分については20.42%で源泉徴収する
  • 請求書1枚ごとでみると100万円以下なので、合算はせずにすべての請求書について10.21%で源泉徴収する

100万円を超えるとその超えた部分については20.42%で源泉徴収するということについては、所得税法の条文では、以下の通りとなっています。

同一人に対し一回に支払われる金額が百万円を超える場合には、その超える部分の金額については百分の二十

<豆知識>

源泉徴収の20.42%のうち所得税の税率は上記の条文の通り20%です。残りの0.42%は東日本大震災を受けてその復興支援のために充てるものとして設けられた復興特別所得税なのです。

 

「同一人に対し一回に支払われる金額が百万円を超える場合」というのを素直にそのまま読むと、

 

「複数の請求書をまとめて支払する場合でもその金額が百万円を超えたら、その超える部分については20.42%の源泉徴収をする必要がある」

 

と読めそうですね。

しかし、実はそうとも限らないのです。

この「同一人に対し一回に支払われる金額が百万円を超える場合」については、国税庁が公表している基本通達では以下のように説明されています。

「同一人に対し1回に支払われる金額」とは、同一人に対し1回に支払われるべき金額をいう。

つまり、実際に1回に支払った金額ではなく、1回に支払うべき金額で判断するのです。

例えば、1つの仕事に対する報酬が100万円を超えた場合に、その報酬に対する源泉徴収の税率を10.21%にするため、わざと分割して支払ったら税率は10.21%ですむようになるかというと、そうはならないということです。

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逆に、2つの契約に基づく請求であった場合には、1つの契約ごとに支払いをするのが基本となりますから、契約書ごとに請求書を分かれて請求されているのであれば、合算して判定する必要はありません。

この場合、契約が異なるごとに「一回につき支払うべき金額」と判断すればよいのです。

源泉徴収の不足漏れを指摘されたくないので保守的に対処したいのであればどうする?

この源泉徴収の制度は、報酬の受取側の税金を受取人に代わって代わりに支払者が徴収する義務を負っているという制度です。

そして、この制度の恐ろしいところは、源泉徴収税額が足らない場合のペナルティーが報酬の支払者側、つまり、源泉徴収義務者に課されてしまうというところなのです。

すると、複数の請求書の合算額が100万円を超えているのであれば、その合算額をもって「一回につき支払うべき金額」としたほうが徴収漏れを指摘されることなく安全だと考える方もいらっしゃるでしょう。

では、もしそのように対処したら、源泉徴収のし過ぎになってしまうのでしょうか。

所得税の基本通達には、以下の通り定められています。

税率を乗ずべき金額の判定に当たっては、現実に1回に支払われる金額によって差し支えない。

つまり、「現実に1回に支払われる金額でもって、源泉所得税の税率の判定をしてもよい」」ということなのです。

まとめ

結論をまとめますと、複数の請求書の合算額が100万円を超え、それを1回で支払った場合、

契約ごとに「1回の支払うべき金額」を判定することが原則であるが、合算額で判定しても問題ない

ということになります。

税金を 多めにとっても おとがめなし

下手な川柳ですみません<m(__)m>

【関連記事】

個人事業主(フリーランス)が外注費を払うとき、もらうときに税金(源泉所得税)で気をつけるべきこと

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【編集後記】

一昨日は3回目のゴルフのラウンドへ。

3回目にもかかわらず、前回よりもスコアを落としてしまいました。

気温が35度を異常な暑さの中だったので止む無しといいたいところですが、どうやら私に落ち度があったようです。

1枚のゴルフグローブで回ったのですが、午後のラウンドは汗でかなり湿った状態でした。

後半のショットが安定しなかった原因はここにあったようです。

ラウンドするときには複数枚のゴルフグローブを交換しながら回らないといけないのですね。

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