BIG4税理士法人と他の税理士法人・会計事務所との違い

2020年4月5日


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tpsdave / Pixabay

私はBIG4と呼ばれる税理士法人でキャリアを積んできました。実名で書いているので差し障りのあることは書けませんが(笑)、他の税理士法人・会計事務所出身の方とは大きく異なる環境にいたようですので、その違いについて気づいた点を書いてみました。会計事務所への就職を考えている税理士試験受験生の参考になれば幸いです。

BIG4税理士法人とは?

世界4大国際会計事務所のメンバーファーム

BIG4税理士法人とは、以下の4つの税理士法人のことをいいます。

これら4つの税理士法人は、それぞれ以下の世界4大国際会計事務所のメンバーファームです。

  • Deloitte(デロイト)
  • KPMG(ケーピーエムジー)
  • PwC(プライスウォーターハウスクーパース)
  • EY(アーンスト・アンド・ヤング)

日本の4大監査法人との関係

日本の4大監査法人も上記の世界4大国際会計事務所のメンバーファームに属しています。まとめると、以下の通りとなります。

 日本の監査法人日本の税理士法人
Deloitte有限責任監査法人トーマツデロイトトーマツ税理士法人
KPMG有限責任あずさ監査法人KPMG税理士法人
PwCPwCあらた監査法人PwC税理士法人
EY新日本有限責任監査法人EY税理士法人

BIG4税理士法人と他の税理士法人・会計事務所との違い

業務内容

BIG4税理士法人の場合、人数が多く業務も多岐にわたっているため、分業化が進んでいます。クライアントの多くは、外資系企業や日系の大企業などであるため、記帳代行や給与計算、個人の確定申告などの業務は少なく、会計の数字が固まった後の法人税確定申告や系列の監査法人の監査手続きの一環としてのタックスレビュー、国際税務やM&Aに関する税務などのコンサルティング業務が中心となります。

私はいくつかの部署を経験しましたが、一番長く在籍したのが、税務コンプライアンス(税務申告書の作成などの一般的な税務)を扱うチームです。記帳代行や給与計算などの業務はほとんどありません(私の場合は年に1件あるかないかでした)し、クライアント側には経理部がありましたのでB/S、P/Lの作成まではクライアント側で行い、確定申告書を作成するのが仕事の中心でした。

ここまでの特徴をまとめると、下表のとおりです。

 BIG4税理士法人他の税理士法人・会計事務所
体制分業制分業制かどうかは人数次第
クライアント外資系企業、大企業中小企業
記帳代行
給与計算
少ない(顧客には経理部あり)多い(自計化が進んでいたとしても記帳指導が必要)
決算書顧客が作成税理士法人・会計事務所が作成or作成指導

身に着けることができること

決算書は会計監査を受けている場合が多く、会計と税務は一致しないのが普通ですので、法人税確定申告書では税務調整が多く、別表5(1)が1枚で収まらないこともよくあります。

クライアントの取引ボリュームが非常に多いこと、また、クライアントの経理担当者がある程度の会計・税務知識を有していることから、すべての取引をレビューするのではなく、税務調整が必要になる可能性が高い科目のチェックと税務上論点になりそうなことの経理担当者への質問で、必要となる税務調整を把握していきます。

また、海外進出しているクライアントやM&Aを行っているクライアントを担当する機会も他の税理士法人・会計事務所に比べると多いと思いますので、国際税務や組織再編税制などの高度な税務に接する機会が多いといえるでしょう。

まとめると、下記の通りです。

  • 会計監査を受けている決算書で税務調整が多い場合でも対応できるようになる
  • 国際税務・組織再編税制などの高度税務の経験ができる

経験できないこと

その反面、経験できないことも色々とあります。

  • 社長とのやりとり(BIG4だと通常、経理部長まで。よくてCFO)
  • 中小企業向け税務(30万円未満の少額減価償却資産や簡易課税など)
  • 自分の部署以外の仕事(法人部門であれば、個人の確定申告など)

特に、独立を目指す方にとって、社長と話す機会がないというのは、大きな痛手です。

待遇(年収・休暇・福利厚生)

BIG4の待遇ですが、やはり他の税理士法人・会計事務所に比べると恵まれていると言えるでしょう。年収や休暇は下記の通りです。

<年収>

業界トップクラス(あくまで業界内です。接するクライアントはもっと給与水準が良さそうなので、クライアント側に回りたいという気持ちが芽生えることも)

<休暇>

繁忙期以外は取りやすい。特に、記帳代行や記帳指導がない分、閑散期に休みやすい。1つのクライアントにつき、数人でチームを組んで対応するので、カバーしてくれる人がいる。

年収や休暇もよいのですが、私が一番よかったと思うのは、税理士試験に合格する人が多いことです。税理士試験に合格しやすい要因は、以下の通りです。

  • 試験休暇がある(しかも、他の休暇を合わせて1月程度休むことも可能)
  • 税理士登録している職員が沢山いる(正確な人数は分からないが100名以上はいるはず)
  • 実は試験に合格してほしくないと思っている所長という存在がいない(対クライアントという面からも、税理士であることが望ましいという環境)

税理士としてのキャリアを積みながら税理士試験に合格するということを考えた時には、最適な環境だと思います。

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退職後のキャリア

定年まで勤めあげる方はほとんどおらず、基本的にはどこかのタイミングで退職して転職若しくは独立します。どちらかと言うと転職する方のほうが多い印象です。転職先は、独立志向のない(弱い)方は日本の上場企業、外資系企業への転職で年収をアップさせるケースが多いようです。独立志向の強い方は、独立を目指して準大手・中小の会計事務所で経験を積むということもあります。

おまけ~社内で使われる言葉~

クライアントに外資系企業が多いせいか、横文字(英語風)の言葉がよく使用されます。繁忙期のことは「ビジー」というとか、総勘定元帳のことは「G/L」というとかですかね。

まとめ

BIG4税理士法人では、高度な税務を経験することができますし、税理士試験に合格しやすい環境がありますし、待遇も業界内ではトップクラスといえるでしょう。

しかし、独立を目指すということを考えた場合、BIG4は独立向けのキャリア(中小企業の税務顧問)を積むという環境ではありませんので、注意が必要です。

なるべく早く独立したいという方は、BIG4税理士法人は遠回りになってしまうのでお勧めできません。

独立するまでにいくつかの税理士法人・会計事務所を経験して、その一つの経験としてBIG4税理士法人を経験してみたい方や、組織の一員として税理士としてのキャリアを築いていきたい方、BIG4税理士法人の経験を強みとして上場企業や外資系企業へ行きたい方には、良い環境であると思います。

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【編集後記】

やっぱり、実名で記事を書いてあるだけあって、いいことばっかり書いてしまった感があります。デメリットが知りたい方はお会いする機会があったときにでも(笑)

なお、私がBIG4税理士法人に在籍していたのは4年以上前なので、情報が陳腐化している可能性があることについてはご了承ください。

【昨日の一日一新】

クリスマスに備えて丸鶏を購入

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※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

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